米ハイイールド債、原油急落が打撃―スプレッド2年ぶり高水準

 米国のハイイールド債券が調整色を強めている。主要指数のICE BofAML USキャッシュ・ペイ・ハイ・イールド指数と米10年債利回りとのスプレッド(利回り格差)を見ると、11月(23日)時点で4.30%と、月次ベースでは16年11月末以来約2年ぶりの高水準となった。

 スプレッドの拡大は米長期金利に対して同指数の利回りが上昇(債券価格が下落)して、利回り面での魅力が高まっていることを意味するが、価格調整が一段と進む可能性もあり、注意が必要だ。過去5年間のスプレッドは平均で4.35%と、現状の4.30%はまだ平均以下の水準にとどまる。また、過去5年間のピークは16年2月に記録した7.48%で、同水準に比べると現在はまだ拡大余地が大きい。

 16年2月にスプレッドが拡大した背景には原油価格の急落があり、ハイイールド債券の中でもエネルギーセクターの信用悪化に対する懸念が高まったことが影響していた。足元のスプレッド拡大についても、背景には株安による投資家のリスク回避に加え、原油価格の大幅下落がある。ニューヨーク原油先物価格は23日に1バレル=50.42ドルと、前日比で7.70%下落し、17年10月9日以来約1年1カ月ぶりの安値を付けている。

 スプレッド拡大は国内投信市場にも影響を与える可能性がある。国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF含む)のうち、モーニングスターカテゴリー「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」または「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジあり)」に属するファンドの純資産残高は18年10月末時点で2.7兆円、国内投信における残高ベースのシェアは2.87%にとどまる。同シェアは、低金利環境において高利回りから人気を博していた13年10月末時点の9.54%から3分の1以下に縮小している。

 原油価格のさらなる下落と、ハイイールド債券ファンドのパフォーマンス悪化はシェア縮小をさらに加速させる可能性があり、注目される。
提供:モーニングスター社
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