利上げ受け南アランド堅調も、“高リスク”で投資家敬遠

 22日の南アフリカ準備銀行(中央銀行)の利上げを受けて、南アフリカランドが堅調に推移している。対円では、利上げが発表された22日に1ランド=8.21円と8月8日以来約3カ月ぶりの高値を付け、27日時点でも同水準で推移している。

 政策金利の引き上げは16年3月以来2年8カ月ぶり。背景にあるのはインフレへの懸念だ。消費者物価指数の上昇率(前年同月比)は10月に5.1%と、9月の4.9%から上昇。中央銀行の目標レンジである3−6%の上限へ接近する中で、利上げに踏み切った格好だ。

 国内投信市場に目を向けると、関連ファンドは南アフリカランドの通貨選択型ファンドが中心となる。国内公募追加型株式投信のうちファンド名に「南アフリカ」を含むファンドで抽出したところ、10月末時点で42ファンド中39ファンドが通貨選択型ファンドとなっている。同じ条件に基づき13年10月末時点で抽出すると50ファンドが該当、うち43ファンドが通貨選択型ファンドとなっており、ファンド数は減少傾向にある。また、純資産残高で見ても18年10月末時点で42ファンドの合計がわずか137億円と、5年前の1177億円から8分の1以下に大幅に縮小している。

 投資家が敬遠する要因となっているのが南アフリカランドの値動きの大きさだ。そもそも通貨選択型ファンドのリスクは高い傾向があるが、その中でも南アフリカランドは高リスクとなっている。国内投信全ファンド内の比較でリスクがどのくらい大きいかを示すモーニングスターのリスクメジャー(1から5の5段階で5が最も高リスク)を用いると、10月末時点で19コースのうち南アフリカランドのリスクメジャーの平均は4.2と、ロシアルーブルの4.9、トルコリラの4.6、ブラジルレアルの4.5に次いで高くなっている。

 南アフリカランドを巡っては17年12月に与党・アフリカ民族会議(ANC)議長選にて改革派のラマポーザ氏が当選し、次期大統領候補となったことが好感され大幅に上昇したものの、その後は労働組合のストライキやトルコリラ急落の余波、GDP(国内総生産)のマイナス成長など悪材料が相次ぎ下落基調となっていた。利上げをきっかけとした値動きの安定が継続するか注目される。
提供:モーニングスター社
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