金融審議会で議論の「重要情報シート」、コストなど重要情報を容易に比較可能に

 金融庁は29日、同日開催した金融審議会「市場ワーキング・グループ」の資料を公開し、「重要情報シート」と呼ぶ顧客の理解を助ける簡略な書面の活用について議論したことを明らかにした。

 重要情報シートは、各種手数料やリスクの種類など金融商品の重要な内容を容易に比較できるようにした資料を想定している。また、シートには販売員と顧客の対話を促進するため、質問例を記載することが考えられるという。具体的には、「相対的にリスクが低い、または費用が安い類似商品はあるか」「複数の商品を組み合わせたものである場合、個々の商品購入と比較して、どのようなメリット・デメリットがあるか」など、商品の比較や組み合わせといった踏み込んだ内容も想定質問として挙げている。

 金融商品の販売時に顧客に交付される書類としては目論見書や契約締結前交付書面などがあるものの、こうした法定書類については「金融商品を比較・検討するのに十分な分かりやすさが担保されているわけではないといった指摘もある」としている。一方、販売用資料については顧客への訴求力に重点が置かれるとして、「商品比較が必ずしも容易とはいえない状況か」と指摘。重要情報シートは、法定書類と販売用資料を補う資料として位置付けられている模様だ。

 また、海外の事例についても紹介され、米国については6月末に遵守期限を迎える簡潔な説明書面(Form CRS)を紹介。同書類は、証券および特定保険を対象に、証券販売業者や投資アドバイザーが発行するもので、商品購入後の事後モニタリングの有無、系列商品のみのアドバイスではないか、利益相反の存在、販売員の報酬構造など、一般的なサービスの内容にとどまらず顧客の利益につながるかを見極める上で重要な情報が盛り込まれている。

 また、Form CRSは形式についても2ページ以内で簡潔な表現を用いて、図表の使用が推奨されるとしており、読みやすさを重視した構成となっている。
提供:モーニングスター社
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