中国本土で外資100%出資の運用会社に初の設立認可、ブラックロックが上海で設立

 米ブラックロックは、中国本土における100%出資の資産運用会社(基金管理有限公司)の設立認可を受け、中国の上海市に設立することができるようになった。設立認可日は8月21日で、認可日から6カ月以内に会社設立を完了し、会社設立後すみやかに証券および先物ビジネスライセンスを取得。ライセンス取得後6カ月以内に、公的ファンドの商品を発行することを求められている。中国において、外資100%資本の資産運用会社が設立される初めてのケースになる。

 会社名は、貝莱徳金融管理公司(BlackRock Financial Management,Inc.)。事業範囲は、「公募ファンドの管理、ファンド販売、および、私募資産の管理と、その他中国証券監督管理委員会によって認可された管理その他の事業」となっている。資本金は3億人民元(約46億円)。法定代表人兼社長(総経理)は張弛氏。

 外資100%出資のファンド会社の設立は、米国と中国が今年1月に署名した貿易交渉を巡る「第1段階の合意」に基づき、「中国が外資規制を緩和する」ことを実行したものと受け取られている。中国では、既に19年7月の段階で、世界経済フォーラムが主催する夏季ダボス会議の開幕式において李克強首相が「証券分野や資産運用分野で外資の出資規制を2020年に撤廃する」と公表し、その後、米国をはじめ先進国の金融グループが中国でのメジャー出資による新会社設立を模索してきた。

 8月21日に認可された案件の中には、日本の大和証券グループが51%出資する「大和証券(中国)有限責任公司」の設立も含まれている。ブラックロックの100%子会社設立を契機に、中国において外資の資産運用会社の設立が続くかに注目していきたい。

 中国には、「70後存銭、80後投資、90後負債(貯金好きの70年代生まれ、投資好きの80年代生まれ、借金ばかりの90年代生まれ)」という言葉がある。投資好きの80年代生まれは、現在40歳代に入った働き盛りの世代でもあり、この世代を中心として資産運用業の拡大余地は大きいと期待されている。「80後」は、一人っ子政策の施行後に生まれた世代で、高学歴、ITリテラシーの高い世代としても知られる。この世代を中心に、先進国で一般化している「国際分散投資」の考えが取り入れられたファンドが中国国内に流通し始めると、中国国内市場のみならず、近隣のアジア市場、あるいは、欧米市場へと中国の富が行き渡る効果も期待される。
提供:モーニングスター社
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