毎月決算型で異彩放つ「予想分配金提示型」、資金流入ペース加速、既存ファンドで追加の動き
予想分配金提示型ファンドが投資家の人気を集めている。直近では純資金流入額の増加ペースが加速しているほか、既存ファンドにおいて予想分配金提示型を設定する動きが目立っている。
予想分配金提示型とは、基準価額の水準に応じて決定する分配金の額を予め提示しているタイプのファンド。例えば、決算日前営業日の基準価額が1万1000円未満の場合は分配なし、1万1000円以上1万2000円未満では200円(1万口あたり、以下同)、1万2000円以上1万3000円未満では300円などである。21年3月末時点で国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)のうちファンド名に「予想分配」を含むファンドは48本あり、毎月決算型が35本、四半期決算型9本、年2回決算型と隔月決算型が2本ずつと、毎月決算型が多数を占める。
毎月決算型ファンドは、毎月一定額の分配金を支払うために運用収益を超えた分配を行うファンドの存在に対する懸念や、長期の資産形成に向かないという見方の広がりなどを背景に、2017年半ば以降厳しい状況にある。国内ファンドのうち毎月決算型ファンドの純資金流出入を見ると、直近3年間(2018年4月−2021年3月、36カ月)のうち6割超の23カ月で純資金流出となり、直近1年間(2020年4月−2021年3月)では2021年3月までの6カ月連続を含む8カ月で純資金流出となっている。
厳しい資金フローに見舞われている毎月決算型ファンドであるが、予想分配金提示型とそれ以外(=除く予想分配金提示型)に分けると様相は大きく異なる。毎月決算の予想分配金提示型35ファンドは直近3年間で見ると全36カ月で純資金流入となっている。特に、2020年12月以降は4カ月連続で純資金流入額が1000億円超えとなり、2021年3月は1374億円の純資金流入と、データの取得が可能な2011年5月以降の119カ月で見て最大となった。一方、「除く予想分配金提示型」は毎月分配型全体とほぼ同じく純資金流出傾向が続いており、2021年3月は1624億円の純資金流出と9カ月連続の純資金流出となった。
毎月決算型ファンドで資金流出傾向が続く中でも、予想分配金提示型は資金流入基調が強まっている。分配金を再投資することで資産の大きな成長を図る考え方は理解しているものの、資金需要などから毎月分配金を受け取りたいという投資家は少なくないと思われる。予想分配金提示型は基準価額が一定水準以下の場合には分配が見送られるため、元本から払い出すいわゆる「タコ足分配」を避けられる。毎月分配金を受け取りながらも、比較的長期間にわたって資産を運用したいという投資家のニーズを掬い取っていると見られる。
今年に入ってから、既存ファンドのうち、「ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド」(愛称:ロイヤル・マイル)、「サイバーセキュリティ株式オープン」「シュローダー・アジアパシフィックESGフォーカス・ファンド」「インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド」(愛称:世カエル)が毎月決算の予想分配金提示型を設定した。5月10日には「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」(愛称:THE 5G)、同14日には「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」(愛称:ゼロ・コンタクト)が予想分配金提示型の運用を開始する。純資産残高が国内全ファンドで上位10位以内と国内を代表するファンドによる設定は、予想分配金提示型に対する投資家の関心を一段と高めそうだ。
提供:モーニングスター社
予想分配金提示型とは、基準価額の水準に応じて決定する分配金の額を予め提示しているタイプのファンド。例えば、決算日前営業日の基準価額が1万1000円未満の場合は分配なし、1万1000円以上1万2000円未満では200円(1万口あたり、以下同)、1万2000円以上1万3000円未満では300円などである。21年3月末時点で国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)のうちファンド名に「予想分配」を含むファンドは48本あり、毎月決算型が35本、四半期決算型9本、年2回決算型と隔月決算型が2本ずつと、毎月決算型が多数を占める。
毎月決算型ファンドは、毎月一定額の分配金を支払うために運用収益を超えた分配を行うファンドの存在に対する懸念や、長期の資産形成に向かないという見方の広がりなどを背景に、2017年半ば以降厳しい状況にある。国内ファンドのうち毎月決算型ファンドの純資金流出入を見ると、直近3年間(2018年4月−2021年3月、36カ月)のうち6割超の23カ月で純資金流出となり、直近1年間(2020年4月−2021年3月)では2021年3月までの6カ月連続を含む8カ月で純資金流出となっている。
厳しい資金フローに見舞われている毎月決算型ファンドであるが、予想分配金提示型とそれ以外(=除く予想分配金提示型)に分けると様相は大きく異なる。毎月決算の予想分配金提示型35ファンドは直近3年間で見ると全36カ月で純資金流入となっている。特に、2020年12月以降は4カ月連続で純資金流入額が1000億円超えとなり、2021年3月は1374億円の純資金流入と、データの取得が可能な2011年5月以降の119カ月で見て最大となった。一方、「除く予想分配金提示型」は毎月分配型全体とほぼ同じく純資金流出傾向が続いており、2021年3月は1624億円の純資金流出と9カ月連続の純資金流出となった。
毎月決算型ファンドで資金流出傾向が続く中でも、予想分配金提示型は資金流入基調が強まっている。分配金を再投資することで資産の大きな成長を図る考え方は理解しているものの、資金需要などから毎月分配金を受け取りたいという投資家は少なくないと思われる。予想分配金提示型は基準価額が一定水準以下の場合には分配が見送られるため、元本から払い出すいわゆる「タコ足分配」を避けられる。毎月分配金を受け取りながらも、比較的長期間にわたって資産を運用したいという投資家のニーズを掬い取っていると見られる。
今年に入ってから、既存ファンドのうち、「ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド」(愛称:ロイヤル・マイル)、「サイバーセキュリティ株式オープン」「シュローダー・アジアパシフィックESGフォーカス・ファンド」「インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド」(愛称:世カエル)が毎月決算の予想分配金提示型を設定した。5月10日には「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」(愛称:THE 5G)、同14日には「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」(愛称:ゼロ・コンタクト)が予想分配金提示型の運用を開始する。純資産残高が国内全ファンドで上位10位以内と国内を代表するファンドによる設定は、予想分配金提示型に対する投資家の関心を一段と高めそうだ。
提供:モーニングスター社