パフォーマンスで劣後するアクティブ、先進国株式では2ツ星以下が5割超

 「アクティブ平均2.7、パッシブ平均3.6」−国内投信市場で投資家の旺盛な資金流入が続く先進国株式ファンドを対象に、21年7月末時点のモーニングスターレーティングの平均をアクティブ・パッシブ別に確認したところ、アクティブで劣後が見られた。他の主要資産においても概ねアクティブにとって厳しい結果となった。

 国内株式・債券、先進国株式・債券、新興国株式・債券の6資産(*)を対象として、所属するファンドのモーニングスターレーティングの平均をアクティブ・パッシブ別に確認した。モーニングスターレーティングは、運用期間3年以上のファンドを対象に、リスク調整後リターンがその属するカテゴリー内でどの水準にあるかを5段階で示したもので、5ツ星が最高である。1ツ星を『1』とし、以下、2ツ星『2』、3ツ星『3』、4ツ星『4』、5ツ星『5』として、平均値を算出した。

 先進国株式の結果は冒頭に示した通りとなった。パッシブは、市場平均を目指して平均的なパフォーマンスを上げると考えれば、多くのファンドが3ツ星前後となり、平均も3.0近辺になると想定されるが、実際は上振れる結果となった。その背景要因は、アクティブにおいて低レーティングファンドの比率が高いことに求められよう。先進国株式アクティブでレーティングが付与された92ファンドのうち、2ツ星以下は50本(2ツ星37本、1ツ星13本)もあり、全体に占める比率は54.3%にも達した。一方、パッシブはレーティング付与67本のうち5ツ星4本(6.0%)、4ツ星33本(49.3%)、3ツ星30本(44.8%)となった。低レーティングアクティブがカテゴリー全体のパフォーマンスの平均を引き下げ、結果としてパッシブのレーティング水準が切り上がった格好だ。

 先進国債券においても、アクティブ平均2.8、パッシブ平均3.9と大きな差が見られた。要因は先進国株式と同じと考えられる。アクティブで2ツ星以下の比率が41.3%(2ツ星30.1%、1ツ星11.2%)もあることが、パッシブにおける4ツ星以上の78.0%(5ツ星15.3%、4ツ星62.7%)という高い比率に繋がっている。

 国内株式、新興国株式・債券でもアクティブが劣後した。新興国株式・債券では近い値となったが、アクティブが、原則として、独自の銘柄選択や資産配分を通じてベンチマークを上回るパフォーマンスを狙うファンドである点を考えれば、物足りなさがある。なお、唯一、国内債券でアクティブが優勢となった。長期的な低金利環境下で国内債券のパフォーマンスが出づらい中で、一部アクティブファンドが存在感を示したと言える。

アクティブファンドの中には、市場平均を大幅に上回るパフォーマンスを上げ、5ツ星を獲得しているファンドがいくつもある。とはいえ、低パフォーマンスファンドが多く、アクティブ全体の劣後に繋がっているのも確かである。低レーティングアクティブのパフォーマンス改善が求められる。

(*)6資産は以下のモーニングスターカテゴリーに基づく。国内株式=国内大型ブレンド、国内債券=国内債券・中長期債、先進国株式=国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)、先進国債券=国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)、新興国株式=国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)、新興国債券=国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)
提供:モーニングスター社
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