「中国恒大集団」を組み入れるファンドは50本超、運用会社にはタイムリーな情報開示が望まれる

 「中国恒大集団」(以下、同社)では、以前より資金繰りが悪化しており、株価は2020年7月から右肩下がり、債券価格も2021年5月から下落している。モーニングスターの調べによると、2021年9月末時点で同社の株式および債券を組み入れているファンドは52本ある。いずれのファンドも同社の組入比率はわずかだが、中国政府による不動産向け融資の規制強化の影響で、同業他社にも資金繰り悪化の懸念がくすぶっているため、これまで以上に注視が必要である。2021年9月末時点における1カ月トータルリターンをみると、52本中45本のファンドがマイナスのリターンとなっている。

 投資家は組入銘柄の内訳をリアルタイムで確認することはできない。一般的に、月報では組入銘柄を確認できるものの、銘柄名や組入比率は上位銘柄に限られている。また、運用報告書でも組入銘柄は公表されているが、開示のペースが年1回や半年ごとなどとなっている。こうした現状から、運用会社には投資家の目線に立ったタイムリーな情報開示を求めたい。モーニングスターの調査によると、「保有していない」ことをリリースしている東京海上アセットマネジメントや、いち早くリリースを出した日興アセットマネジメント、リリースを複数回出している大和アセットマネジメントなどがある。これらの運用会社には投資家から高い信頼が寄せられることだろう。投資家も口座を保有する証券会社や銀行のHPだけではなく、この機会に運用会社のHPをご覧いただくことをお勧めする。
提供:モーニングスター社
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