「オミクロン型」「米金融政策」に揺れる株式市場、ファンドのリスク水準を改めてチェック

 世界の株式市場が揺れる今、ファンドのリスクに改めて着目したい。21年11月の日経平均株価は前月比−3.71%、NYダウは同−3.73%と揃って急落した。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」や米金融政策の正常化前倒しに対する警戒感から月末にかけて下げ足を強めた。師走相場入りしたが、先行きは波乱含みである。

 モーニングスターでは運用期間3年以上のファンドを対象に「リスクメジャー」を付与している。ファンドのリスク(標準偏差)が全ファンドの中でどの水準にあるのかを、「低い」「やや低い」「平均的」「やや高い」「高い」の5段階で示したものだ。「低い」に属するファンドは、基準価額の変動リスクが最も低水準となる。

 21年10月末時点で各ファンドに付与されたリスクメジャーに基づいて、リスクメジャー別に11月のリターンの平均値を確認したところ、「低い」−0.38%、「やや低い」−2.16%、「平均的」−3.43%、「やや高い」−3.35%、「高い」−5.24%となった。下落相場の中で、概ねリスク水準が低いファンドほど下落幅が抑制できた恰好となった。なお、「やや高い」の下落幅が「平均的」より小さくなったのは、「ゲーム」「ロボット」「AI(人工知能)」などテーマ型ファンドの一角が高リターンを獲得したためである。

 NYダウが約6%上昇した21年10月を見ると、「低い」−0.33%、「やや低い」+0.57%、「平均的」+1.35%、「やや高い」+2.67%、「高い」+2.25%、コロナショックに全体相場が急落した20年3月は、「低い」−5.48%、「やや低い」−8.84%、「平均的」−16.42%、「やや高い」−14.68%、「高い」−21.89%となった。「高い」に属するファンドは上昇局面では強いものの下落局面では脆いと言えよう。「低い」に属するファンドの下落局面における底堅さも確認できる。

 「リスクメジャー」は、資産別ではなく、全ファンドにおける標準偏差の水準を示したものであるため、「低い」「やや低い」には相対的に低リスクとされる債券やバランス型ファンドが多くなる。半面、「やや高い」「高い」には高リスクとされる株式やREIT型ファンドが多い。21年10月末時点で見ると、バランス型と債券型(国内・国際)の「低い」に占める比率は94.8%、「やや低い」では96.7%に達する。一方、株式型とREIT型は「高い」の81.0%、「やや高い」の83.5%を占める。

 株式市場の先行き不透明感の高まりは、ファンドのリスク水準を確認する良い機会である。資産別ではバランス型と債券型を、株式型やREIT型においてもよりリスクの低いファンドを意識するきっかけとしたい。なお、各ファンドのリスクメジャーはモーニングスターのホームページ上で確認できる。
提供:モーニングスター社
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