株価急落時に発揮される分散投資の効果、「4資産分散」の最大下落率は「株式のみ」の4割減の水準

 株式市場の動きが激しい。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大や米金融正常化を巡る投資家心理の揺れを反映し、11月後半から乱高下している。今後のスタンスを考える材料とすべく、国内株式にのみ投資する場合と投資先を分散した場合について、シミュレーションを行った。

 2021年11月末までの過去15年間を対象として、国内株式にのみ投資した場合と、国内株式・国内債券・海外株式・海外債券の国内外4資産に均等に分散投資した場合の値動きをシミュレーションした。国内株式では、モーニングスターカテゴリー「国内大型ブレンド」に属するファンドのリターンを指数化した「モーニングスターインデックス 国内大型ブレンド(単純)」を使用した。国内4資産では、同インデックスのほか、「モーニングスターインデックス 国内債券・中長期債(単純)」「モーニングスターインデックス 国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)(単純)」「モーニングスターインデックス 国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)(単純)」を使用した。

 2021年11月末時点の過去15年間の累積リターンは、国内株式が62.76%、国内外4資産が63.66%とほぼ同水準となった。ただ、そこに至るまでの過程は大きく異なる。両パターンともにリーマンショック時の09年前半に期間中の最大下落率を記録しているが、国内株式の下落率が−53.6%(09年2月)であるのに対して、国内外4資産は−33.0%(09年1月)に留まる。下落率の差がその後の戻りに影響し、国内外4資産が13年4月に10,000を回復したのに対して、国内株式が10,000を回復したのは14年11月と遅れた。

 2021年11月末時点の累積リターンはほぼ同じだが、国内株式のみに投資した場合は、リーマンショック時の5割超の暴落に耐えねばならないほか、その後の戻りの鈍さにも不安を抱えることになる。5割超の下落を耐える前に損切し、現在につながるリターンを享受できないというパターンも多いであろう。

 国内4資産に分散投資した場合には、国内株式にのみ投資した場合と比べて、最大下落率も何とか踏み止まれる水準であり、その後の回復に伴うリターンを享受する可能性も高まる。分散投資によるリスク抑制が奏功し、国内株式のみの場合に比べて値動きの幅が小さく、相対的に安定した動きとなっている。なお、シミュレーションの期間に含めたリーマンショックは100年に1度といわれるほどの急落であるが、4資産に分散した場合には、その中にあっても壊滅的な打撃を何とか回避したと見ることもできる。

 オミクロン型が世界経済・社会にどの程度の影響を及ぼすか予想することは困難であり、株式市場の不安定な状況が長引く可能性もある。新型コロナウイルスの早期終息を切実に願いつつも、リスク性資産である株式市場が揺れている今を、分散投資を改めて意識する機会としたい。
提供:モーニングスター社
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