SBI・Vシリーズがランキングを左右する台風の目に=ネット証券の投信積立契約件数ランキング22年1月

 大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次、22年1月)では、トップ2は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」「sMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で変動はなかったが、第3位に「楽天・全米株式インデックス・ファンド」が浮上し、前月3位だった「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は4位に後退した。また、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」が前月の4位から8位に後退し、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」が前月の9位から6位に浮上するなど、インデックスファンドの中で、積立人気の変動がみられる。

 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

 インデックスファンドの積立契約件数ランキングにおける順位の変化は、業界最低水準の手数料(信託報酬)水準をめざす「SBI・V」シリーズの品揃えの拡充があるように思える。「SBI・V」シリーズは、先行した「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が2019年9月26日の設定で、現在までに純資産残高が4621億円になる大きなファンドに育った。21年6月29日に「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」と「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド」を新規設定し、22年1月31日に「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」を新規設定してシリーズ4本の品揃えになった。いずれも、連動をめざす株価指数を同じくするインデックスファンドの中では、信託報酬率を最低か、それに準じる低水準に設定している。

 1月の投信積立契約件数ランキングで、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」の順位が落ちたのは、1月31日に設定された「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」の影響が考えられる。同じ株価指数FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスへの連動をめざすファンドで、その手段として米バンガード社の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」に投資する。手数料水準のみ「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」の方が低く、ETFの管理報酬を含めて実質で年0.1438%(税込)になっている。「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」の同0.212%と比較すると32%割安な水準だ。

 「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」は、トップ10には入らなかったが、5ポイントを集めて次点になっている。10位に食い込んだ「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」は、同じようにFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスへの連動をめざすインデックスファンドだが、手数料の低い複数のETFを組み入れて運用するファンドになっており、商品の設計が異なる。手数料の水準は実質税込0.1102%とFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスへの連動をめざすファンドの中では最も低くなっている。

 ネット証券の投信積立契約件数ランキングは、手数料の低いインデックス・ファンドが選好されているが、1月のトップ10には、「eMAXIS Slim」シリーズが4ファンド入り、「楽天・バンガード」シリーズが2本、「SBI・V」シリーズが2本、「<購入・換金手数料なし>」シリーズが1本になっている。それぞれのシリーズが、ランキングの中でどのように評価されていくのかにも注目していきたい。
提供:モーニングスター社
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