乱調相場の中でブラジル株ファンドが上位独占−1月国内ファンドリターン

 2022年1月のNYダウは前月比▲3.32%、日経平均株価は▲6.22%と揃って急反落した。米金融政策の正常化への動きやインフレ懸念などを受けて、値動きの大きな展開となった。2021年の1年間ではNYダウが18.73%、日経平均株価が4.91%上昇した。日米を始めとして世界の株式市場が乱調スタートとなった2022年1月の国内ファンドの月次リターンを見ると、ブラジル株式に投資するファンドが上位を独占した。

 2022年1月末時点の純資産残高が10億円以上である国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く、ブル・ベア型も除く)を対象として、同月のトータルリターンを確認したところ、16.07%でトップとなったBNPパリバ・アセットマネジメントの「BNPパリバ・ブラジル・ファンド(株式型)」を筆頭に、第2位「ブラジル株式ファンド」(カレラアセットマネジメント)、第3位「ブラジル株式ファンド」(日興アセットマネジメント)など第9位までをブラジル株ファンドが占めた。

 ブラジル株ファンドがリターン上位に浮上した要因は、原油高を背景にしたブラジル株の急反発に求められる。同月の主要新興国の代表的な株価指数の騰落率を見ると、中国の上海総合指数が前月比▲7.65%、ロシアのRTS指数が同▲10.06%と大幅に下落し、インドのSENSEX指数も同▲0.41%と下落した一方で、ブラジルのボベスパ指数は同6.98%上昇した。2021年の1年間は、上海総合指数が4.80%、RTS指数が15.01%、SENSEX指数が21.99%上昇する一方で、ボベスパ指数は11.93%下落していた。

 米金融正常化の動きに世界の株式市場が動揺し、中国では新型コロナの感染拡大に対する行動制限、ロシアではウクライナを巡る欧米との対立も加わって大幅に下落した。ブラジルも神経質な動きをする世界の株式市場の影響を受けたが、ウクライナ情勢の緊迫化を受けて主要輸出品である原油の価格が上昇したことや、今年に予定されている大統領選への期待感などによる押し上げ効果が大きく、前年に大きく下落していたこともあって、急反発した。

 同月のニューヨークのWTI原油先物価格は前月比17.21%上昇と2カ月連続の2ケタ上昇となった。原油高を受けて、ブラジル株ファンドに続くリターン上位第10位にはドイチェ・アセット・マネジメントの「米国MLPファンド(毎月分配型)Bコース(円ヘッジなし)」が入った。第11位から第20位までの10ファンドのうち9ファンドもエネルギーや資源関連に投資するファンドとなった。
提供:モーニングスター社
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