国際株式型アクティブファンドで見る「リスクと運用効率」ハイリスクは必ずしもハイリターンとならず

 国際株式に投資するアクティブファンドを対象に、リスク水準と3年シャープレシオの関係を見たところ、相対的なリスク水準が低いほどシャープレシオが良好であった。シャープレシオはリスクに見合ったリターンを得られているのかという運用効率性を表す指標である。リスクの抑制は効率的な運用の第一歩となる。「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」などと、リスクとリターンはセットで語られることが多いが、運用実績を振り返ると、「ハイリスク」は必ずしも「ハイリターン」ではないことが分かる。

 国際株式型アクティブファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)を対象に、2021年12月末時点のモーニングスターリスクメジャー別に、2019−2021年の各12月末時点における、過去3年間のシャープレシオを確認した。

 リスクメジャーとは、ファンドのリスク(標準偏差)が全ファンドの中でどの水準にあるのかを、「低い」「やや低い」「平均的」「やや高い」「高い」の5段階で示したものである。「低い」に属するファンドは、基準価額の変動リスクが最も低水準となる。リスクメジャーは、資産別ではなく、全ファンドにおける標準偏差の水準を示すため、「低い」「やや低い」には相対的に低リスクとされる債券やバランス型ファンドが多くなり、「やや高い」「高い」には高リスクとされる株式やREIT型ファンドが多くなる。

 対象とした国際株式型アクティブファンドのうち、2021年12月末時点のリスクメジャー別の本数は、「低い」1本、「やや低い」2本、「平均的」227本、「やや高い」359本、「高い」218本。「低い」「やや低い」はほぼ特定のファンドの結果となるため評価から除外し、「平均的」「やや高い」「高い」に属するファンドについて集計した。「平均的」は、債券ファンドやバランス型ファンドより相対的にリスク水準が高い国際株式型アクティブファンドの中では、リスク水準が低いということになる。

 2021年12月末時点で、3年シャープレシオは「平均的」が1.19、「やや高い」が0.91、「高い」が0.48となった。「平均的」が最もシャープレシオが高く、リスク水準が高くなるに従ってシャープレシオが低下する結果となり、2019年12月末、2020年12月末も同様の結果となった。「高い」は、高いリスクをとってリターンを狙うタイプと言えるが、2020年はリターンがマイナスとなっており、ハイリスクの負の側面が表れている。

 ハイリスク・ハイリターンは“当たった”ときのリターンは大きいが、大きな損失に繋がる可能性も高く、損失が大きくなると取り戻すのに時間を要する。割切スタンスであれば別だが、大きなリターンではなくとも、リスクを抑制して一定のリターンを安定的に獲得する方が、結果的には効率的にリターンを獲得したことになる。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めに積極的なタカ派色を強めたことを受けて、日米を始めとした世界の株式市場が動揺している。3日には、英イングランド銀行(BOE)が、追加利上げに加えて、保有資産の残高を減らす量的引き締め(QT)に3月から着手すると発表した。欧州中央銀行(ECB)も早期利上げに対するこれまでの慎重姿勢を変化させている。各国の中央銀行が金融緩和策の修正に動く中、株式市場は今後も値動きの大きな展開が続くと見られる。リスクを抑制した、安定的で効率的な運用を心掛けたい。

 なお、モーニングスターのホームページでは、個別ファンドのページにおいて、リスクメジャーを確認することができる。
提供:モーニングスター社
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