確認したいファンドのリスク水準、先進国株式ファンドではリスク「高い」のパフォーマンスは劣後
米金利上昇や新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中国の景気減速懸念、そして長期化するロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けて、日米株式市場を始めとした世界の金融市場の先行き不透明感が深まっている。ファンドの選定・保有においてもリスク水準の確認が改めて求められる。先進国株式ファンドについて、リスクと運用成績の関係を調べたところ、リスクを抑制したファンドグループの方が、リスクの高いファンドグループよりも効率的にリターンを獲得できていることが分かった。
日本を除く先進国株式に投資する7つのモーニングスターカテゴリー((注)末尾参照)に属するファンドの中から、確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、及びETFを除いた一般的な投資家が購入可能なアクティブファンドに絞り込み、2022年3月末時点のリスクメジャー別に、過去3年間、5年間、10年間のシャープレシオの平均を調べた。シャープレシオはリスクに見合ったリターンを得られているのかという運用の効率性を表す指標である。
また、リスクメジャーは、ファンドのリスク(標準偏差)が全ファンドの中でどの水準にあるのかを、「低い」、「やや低い」、「平均的」、「やや高い」、「高い」の5段階で示したものである。「低い」に属するファンドは、基準価額の変動リスクが最も低水準となる。リスクメジャーは、全ファンドにおける標準偏差の水準を示すため、「低い」、「やや低い」には相対的に低リスクとされる債券やバランス型ファンドが多くなり、「やや高い」、「高い」には高リスクとされる株式やREIT型ファンドが多くなる。
今回対象とした日本を除く先進国株式アクティブファンドでは、過去3年間、5年間、10年間の全てで「低い」に該当がなかった。「やや低い」は1本のみであり、実質的に、「平均的」が相対的なリスク水準が最も低いグループとなる。
過去3年間、5年間、10年間のいずれにおいても、シャープレシオは「平均的」が最も高くなり、「やや高い」、「高い」の順となった。いずれの期間においても、相対的なリスク水準の低いファンドグループほど効率的にリターンを獲得している傾向が分かる。また、「高い」の「平均的」、「やや高い」との差も際立った。「高い」の中には「ハイリスク・ハイリターン」なファンドもあるが、高いリスクに見合ったリターンを獲得できていないファンドの方が多いことが窺える。
実際、リスクメジャー別のリターン(年率)を見ると、過去3年間、5年間、10年間のいずれにおいても「高い」のリターンは「平均的」、「やや高い」よりも低く、過去5年間では「平均的」の10.41%、「やや高い」の11.84%に対して、「高い」は7.79%、過去10年間では「平均的」の12.29%、「やや高い」の13.85%に対して、「高い」は7.54%に留まっている。
リターンだけで見ると、過去3年間、5年間、10年間のいずれも「やや高い」が最も良好だが、「平均的」との差はそれほど大きくはなく、リスクを加味すると「平均的」が最も効率的にリターンを獲得している。
リスクの高いファンドへの投資は、運用効率が悪いだけではなく、ショックなどで大幅な下落が発生した場合には、その後の回復に時間が掛かり、投資の継続が困難になることもある。対して、相対的にリスクを抑制したファンドでは、下落幅が限定されるほか、効率的なリターンの獲得が見込まれ、長期投資の支えになると見られる。
保有しているファンド、投資を検討しているファンドのリスク水準を改めて確認したい。モーニングスターのホームページでは、個別ファンドのページにおいて、リスクメジャーを確認することができる。
(注)「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」、「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)」、「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」、「国際株式・北米(為替ヘッジあり)」、「国際株式・欧州(為替ヘッジなし)」、「国際株式・欧州(為替ヘッジあり)」、「国際株式・オセアニア(為替ヘッジなし)」
提供:モーニングスター社
日本を除く先進国株式に投資する7つのモーニングスターカテゴリー((注)末尾参照)に属するファンドの中から、確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、及びETFを除いた一般的な投資家が購入可能なアクティブファンドに絞り込み、2022年3月末時点のリスクメジャー別に、過去3年間、5年間、10年間のシャープレシオの平均を調べた。シャープレシオはリスクに見合ったリターンを得られているのかという運用の効率性を表す指標である。
また、リスクメジャーは、ファンドのリスク(標準偏差)が全ファンドの中でどの水準にあるのかを、「低い」、「やや低い」、「平均的」、「やや高い」、「高い」の5段階で示したものである。「低い」に属するファンドは、基準価額の変動リスクが最も低水準となる。リスクメジャーは、全ファンドにおける標準偏差の水準を示すため、「低い」、「やや低い」には相対的に低リスクとされる債券やバランス型ファンドが多くなり、「やや高い」、「高い」には高リスクとされる株式やREIT型ファンドが多くなる。
今回対象とした日本を除く先進国株式アクティブファンドでは、過去3年間、5年間、10年間の全てで「低い」に該当がなかった。「やや低い」は1本のみであり、実質的に、「平均的」が相対的なリスク水準が最も低いグループとなる。
過去3年間、5年間、10年間のいずれにおいても、シャープレシオは「平均的」が最も高くなり、「やや高い」、「高い」の順となった。いずれの期間においても、相対的なリスク水準の低いファンドグループほど効率的にリターンを獲得している傾向が分かる。また、「高い」の「平均的」、「やや高い」との差も際立った。「高い」の中には「ハイリスク・ハイリターン」なファンドもあるが、高いリスクに見合ったリターンを獲得できていないファンドの方が多いことが窺える。
実際、リスクメジャー別のリターン(年率)を見ると、過去3年間、5年間、10年間のいずれにおいても「高い」のリターンは「平均的」、「やや高い」よりも低く、過去5年間では「平均的」の10.41%、「やや高い」の11.84%に対して、「高い」は7.79%、過去10年間では「平均的」の12.29%、「やや高い」の13.85%に対して、「高い」は7.54%に留まっている。
リターンだけで見ると、過去3年間、5年間、10年間のいずれも「やや高い」が最も良好だが、「平均的」との差はそれほど大きくはなく、リスクを加味すると「平均的」が最も効率的にリターンを獲得している。
リスクの高いファンドへの投資は、運用効率が悪いだけではなく、ショックなどで大幅な下落が発生した場合には、その後の回復に時間が掛かり、投資の継続が困難になることもある。対して、相対的にリスクを抑制したファンドでは、下落幅が限定されるほか、効率的なリターンの獲得が見込まれ、長期投資の支えになると見られる。
保有しているファンド、投資を検討しているファンドのリスク水準を改めて確認したい。モーニングスターのホームページでは、個別ファンドのページにおいて、リスクメジャーを確認することができる。
(注)「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」、「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)」、「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」、「国際株式・北米(為替ヘッジあり)」、「国際株式・欧州(為替ヘッジなし)」、「国際株式・欧州(為替ヘッジあり)」、「国際株式・オセアニア(為替ヘッジなし)」
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