国内株式型ファンドへの資金流入が回復、けん引役は中小型グロース株ファンド

 国内ファンドへの純資金流出入の推移を見ると、ここ数年、国際株式型ファンドへの高水準な流入が続いている。バランス型ファンドへの流入も高い水準で安定している。その中にあって、2022年に入ってからの復調ぶりが際立つのが国内株式型ファンド。中小型の成長株(グロース株)に投資する一部のファンドがけん引役となっている。

 国内ファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)の2022年1−3月の純資金流出入額の合計をモーニングスターの大分類別に見ると、「国際株式型」が1兆3368億円の流入超過となり、流入超過額は10分類中トップとなった。国際株式型は、2020年(年間、以下同)、2021年(年間、以下同)と2年連続でトップであり、ここ数年の米国株高を背景にした旺盛な資金流入が続いている。「バランス型」は2022年1−3月に1379億円の流入超過となり、2020年、2021年に続く第3位と上位を維持した。

 2022年1−3月の純資金流入額で第2位となったのは「国内株式型」で、流入超過額は2342億円となった。2018年年間の第2位から、2019年年間、2020年と2年連続の最下位(2020年は1兆3185億円の流出超過)に沈んだが、2021年は第6位(925億円の流入超過)と順位を上げ、今回上位に浮上してきた。

 国内株式型の資金フローをカテゴリー別に見ると、成長株に投資する「グロース」が存在感を放ち、中でも、中小型グロースの回復ぶりが目立つ。「国内大型グロース」は2022年1−3月に1627億円の流入超過となり、国内株式に投資する9カテゴリー(大型、中型、小型の規模と、バリュー、ブレンド、グロースというスタイルの組み合わせ)の中で流入超過額がトップとなった。ただし、日経225連動型のインデックスファンドへの資金流入が中心で、また、2021年との比較では、流入超過額は1401億円減少した。一方、「国内中型グロース」は2022年1−3月に224億円の流入超過(2021年は392億円の流出超過)、「国内小型グロース」は同232億円の流入超過(同738億円の流出超過)となり、2022年1−3月の2021年との比較では、616億円、970億円改善した。

 割安株に投資する「バリュー」について見ると、「国内大型バリュー」は2022年1−3月に45億円の流入超過に転換し、2021年との比較では518億円と大幅な改善が見られたが、「国内中型バリュー」は2022年1−3月に36億円の流入超過に転換したものの、2021年からの改善幅は109億円に留まり、「国内小型バリュー」は2022年1−3月に6億円の流出超過(2021年との比較では103億円の改善)であった。

 2022年1−3月のリターンを見ると、「国内大型バリュー」5.08%、「国内中型バリュー」3.11%(『国内小型バリュー』は▲1.88%)に対し、「国内大型グロース」▲4.37%、「国内中型グロース」▲7.65%、「国内小型グロース」▲10.30%と「バリュー優位・グロース劣後」となった。

 パフォーマンス面で劣後する中で、「国内中型グロース」への資金流入をけん引したのは、レオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」。2022年1−3月は193億円の流入超過(2021年は110億円の流入超過)となった。マザーファンドが同一の「ひふみ投信」の流入超過額23億円と合わせた流入超過額は215億円となる。「国内小型グロース」では、1月に設定された日興アセットマネジメントの「ジパング・オーナー企業株式ファンド」が2022年1−3月に133億円の流入超過となった。また、アセットマネジメントOneの「MHAM 新興成長株オープン」(愛称:J−フロンティア)と「企業価値成長小型株ファンド」(愛称:眼力)も2021年の流出超過から2022年1−3月は流入超過に転じている。

 2022年に入ってから、金利上昇を受けて米国でグロース株への売り圧力が度々強まるなど、グロース株に対する見方が厳しくなっている。その中にあって、国内中小型のグロース株ファンドの一角には、成長を期待した資金が流入している。
提供:モーニングスター社
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