金融市場動揺の中で「グロイン」、「NWQフレキシブル」などインカムファンドの一角に資金が流入

 2022年4月の個別ファンドの純資金流出入額(モーニングスター推計値)を見ると、インカムファンドの一角へ資金が流入する動きが見られた。インフレ(物価上昇)の高進に対応した米国の金融引き締めやロシア・ウクライナ紛争の長期化、中国での新型コロナウイルス拡大による景気減速懸念などで世界の金融市場が動揺する中、安定的なインカム収益の獲得に対する関心が高まったと見られる。

 「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(1年決算型)」の同月の純資金流入額は48億円となった。12億円の純資金流出となった前月から流入超過に転換しただけでなく、単月の純資金流入額が設定(2008年10月)来の163カ月で最大となった。
 同ファンドは、日本を含む世界の高配当利回りの公益企業(電力、ガス、水道、電話、通信、運輸、廃棄物処理、石油供給など)の株式に投資する。公益企業は一般的に規模が大きく収益基盤が安定しているという特徴がある。なお、同シリーズの「毎月分配型」は、先週(5月2−6日)の純資金流入額が19億円となり、2020年8月11−14日以来1年8カ月ぶりに純資金流入額が国内全ファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、及びETF除く)の中で上位10位内となった。

 「NWQフレキシブル・インカムファンド 為替ヘッジあり(年1回決算型)」の同月の純資金流入額は28億円となった。設定(2018年12月)来の41カ月連続での純資金流入となり、かつ単月の純資金流入額が最大となった。

 同ファンドは、日本を含む世界の企業が発行する米ドル建の株式、投資適格社債、ハイイールド社債、転換社債、ハイブリッド証券などに分散投資するバランス型ファンドで、相対的に高いインカム収益と値上がり益の獲得を目指す。ポートフォリオ構築に際しては、収益性、成長性、財務の健全性などの分析から魅力度が高いと判断した企業を選定し、当該企業が発行する証券の中から、利回りや価格上昇余地などの点から見て投資効率が高いと判断した証券(リスク調整後の期待リターンが高い証券)を選択する。同シリーズの「為替ヘッジなし(毎月決算型)」も同月は47億円の純資金流入となり、年1回決算型と同じく設定来41カ月連続での純資金流入となった。

 「マニュライフ・円ハイブリッド債券インカム・ファンド(年1回決算型)」にも資金が流入した。同月の純資金流入額は133億円となり、30億円の純資金流出となった前月から流入超過に転じた。同ファンドは、主に相対的に高い利回りが期待できる日本企業が発行する円建てのハイブリッド債券(劣後債)に投資する。ハイブリッド債券は、債券と株式の中間的な性格を有し、一般の債権者よりも債務弁済の順位が劣るため、通常は同じ会社が発行する普通社債と比べて格付けが低い一方で利回りは高く設定されている。なお、同ファンドでは、ハイブリッド債券でも取得時に投資適格以上の格付けを有する債券への投資を原則としている。

 「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(1年決算型)」は国際株式型、「NWQフレキシブル・インカムファンド 為替ヘッジあり(年1回決算型)」はバランス型、「マニュライフ・円ハイブリッド債券インカム・ファンド(年1回決算型)」は国内債券型ファンドと、3ファンドは主投資先が異なるが、安定的にインカム収益の獲得を目指すという点で共通する。今後、金融市場の先行き不透明感が一層深まった場合には、それぞれの資産の中で存在感が一段と高まることも考えられる。
提供:モーニングスター社
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