世界株安の中で底堅い日本株、バリュー株ファンドが好パフォーマンス
19日の米国株式市場でNYダウが大幅続落するなど、世界株式の下落基調が足元で強まっている。インフレの高進、各国の金融引き締め、ウクライナ問題、中国での新型コロナウイルスの感染拡大など不安材料は尽きず、先行き不透明感は深まる一方だ。その中にあって、日本株は相対的に底堅く推移している。国内株式に投資するファンドの年初来のパフォーマンスを見ると、バリュー株ファンドのパフォーマンスが良好である。
主な株価指数の5月18日時点の年初来騰落率を見ると、「S&P500」が−17.68%、日本を除く先進国の株価動向を表す「MSCI コクサイ(ワールド除く日本)インデックス(米ドルベース)」が−17.67%、新興国の株価動向を表す「MSCI エマージング・マーケット・インデックス(米ドルベース)」が−16.14%、「TOPIX(東証株価指数)」は−5.40%となった。米国株が足元で年初来安値を更新するなど世界株式が大幅に下落している中で、日本株は小幅下落に留まっている。世界各国が金融引き締めに動く中で、日本は日銀が緩和的な金融政策を維持しており、支えとなっている。
国内株式に投資するファンドのパフォーマンスはどうか。5月18日時点のカテゴリー別の年初来リターン(カテゴリーに属するファンドのリターンの平均)を見ると、国内株式型の9カテゴリーのうち、国内大型バリュー3.47%、国内中型バリュー1.73%の2カテゴリーのみがプラスとなった。国内小型バリューは−3.75%だが、国際株式型や債券型なども含めた全カテゴリーの平均である−4.72%と比べるとマイナス幅は小さい。金利上昇による世界的なグロース株への逆風を受けて、国内株式型ファンドでもグロース株ファンドの下落幅が大きくなる一方で、バリュー株ファンドのパフォーマンスは概ね堅調であった。個別のバリュー株ファンドのリターン上位には、「日経平均高配当利回り株ファンド」(年初来リターンは12.94%)を始め、配当利回りに着目するファンドが並んだ。株式市場が低調な中で、安定的なインカム収益が支えになっている。
資金フローでは様相が異なる。2022年1−4月のカテゴリー別純資金流出入額(ETF除く)を見ると、国内大型グロースが2303億円の流入超過、国内中型グロースが291億円の流入超過、国内小型グロースが320億円の流入超過となった一方で、国内大型バリューは72億円の流入超過、国内中型バリューは35億円の流入超過に留まり、国内小型バリューは9億円の流出超過となった。4月単月では、国内大型バリュー、国内小型バリューが流出超過となった。
3年ぶりに緊急事態宣言のないゴールデンウィークとなるなど、国内の経済・社会は正常化に向けて動き出している。世界各国との金融政策のスタンスの差もある。今後、世界の株式市場の動揺が続く中で、日本株の底堅さがより鮮明となることもあろう。足元でパフォーマンスが良好なバリュー株ファンドを始めとして、国内株式型ファンドへの関心が高まるか注目される。
提供:モーニングスター社
主な株価指数の5月18日時点の年初来騰落率を見ると、「S&P500」が−17.68%、日本を除く先進国の株価動向を表す「MSCI コクサイ(ワールド除く日本)インデックス(米ドルベース)」が−17.67%、新興国の株価動向を表す「MSCI エマージング・マーケット・インデックス(米ドルベース)」が−16.14%、「TOPIX(東証株価指数)」は−5.40%となった。米国株が足元で年初来安値を更新するなど世界株式が大幅に下落している中で、日本株は小幅下落に留まっている。世界各国が金融引き締めに動く中で、日本は日銀が緩和的な金融政策を維持しており、支えとなっている。
国内株式に投資するファンドのパフォーマンスはどうか。5月18日時点のカテゴリー別の年初来リターン(カテゴリーに属するファンドのリターンの平均)を見ると、国内株式型の9カテゴリーのうち、国内大型バリュー3.47%、国内中型バリュー1.73%の2カテゴリーのみがプラスとなった。国内小型バリューは−3.75%だが、国際株式型や債券型なども含めた全カテゴリーの平均である−4.72%と比べるとマイナス幅は小さい。金利上昇による世界的なグロース株への逆風を受けて、国内株式型ファンドでもグロース株ファンドの下落幅が大きくなる一方で、バリュー株ファンドのパフォーマンスは概ね堅調であった。個別のバリュー株ファンドのリターン上位には、「日経平均高配当利回り株ファンド」(年初来リターンは12.94%)を始め、配当利回りに着目するファンドが並んだ。株式市場が低調な中で、安定的なインカム収益が支えになっている。
資金フローでは様相が異なる。2022年1−4月のカテゴリー別純資金流出入額(ETF除く)を見ると、国内大型グロースが2303億円の流入超過、国内中型グロースが291億円の流入超過、国内小型グロースが320億円の流入超過となった一方で、国内大型バリューは72億円の流入超過、国内中型バリューは35億円の流入超過に留まり、国内小型バリューは9億円の流出超過となった。4月単月では、国内大型バリュー、国内小型バリューが流出超過となった。
3年ぶりに緊急事態宣言のないゴールデンウィークとなるなど、国内の経済・社会は正常化に向けて動き出している。世界各国との金融政策のスタンスの差もある。今後、世界の株式市場の動揺が続く中で、日本株の底堅さがより鮮明となることもあろう。足元でパフォーマンスが良好なバリュー株ファンドを始めとして、国内株式型ファンドへの関心が高まるか注目される。
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