米国株インデックスファンドが上位、「テンバガー・ハンター」も健闘−5月の純資産残高増加ランキング

 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)を対象として、2022年5月の純資産残高の増加額上位を見たところ、米国株式に投資する低コストのインデックスファンドが並んだ。米国株式が続落する中で、アクティブファンドに比べて底堅いパフォーマンスが支えとなった。

 5月の純資産増加額トップは「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」。同月末の純資産額は1兆2208億円となり、前月末比608億円増加した。第3位には「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」(愛称:SBI・V・S&P500)、第4位には「楽天・全米株式インデックス・ファンド」(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))と、上位5ファンドのうち3ファンドを米国株式に投資する低コストのインデックスファンドが占めた。なお、第2位の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」も2022年4月末時点で投資先に占める米国の比率が約6割に達する。

 国内ファンドの5月の純資金流入額(モーニングスター推計値)を見ると、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」がトップ、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が第4位、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」が第5位といずれも上位となった。純資金流入額の第2位にはアクティブファンドの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が入ったが、同ファンドの5月末の純資産残高は前月比47億円減と2カ月連続の減少となった。

 純資金流入額上位の米国株ファンドの純資産残高増減がインデックスファンドとアクティブファンドで分かれた背景には、投資先である米国株式が下落する中でのリターンの違いが挙げられる。

 各ファンドの5月トータルリターンは「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が−2.59%となったのに対し、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は−0.97%、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は−0.96%、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は−1.26%。「S&P500(配当込、円ベース)」(−0.94%)との差を見ると、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」の−1.65%に対し、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は−0.03%、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」は−0.02%、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」は−0.33%に留まった。

 「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が、純資金流入の続く中でも投資先資産の市場平均以上の下落によって残高を減らした一方で、市場平均並みの下落に留まったインデックスファンドは残高が増加した。なお、米国株式に投資するモーニングスターカテゴリー「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」に属するファンドについて、5月に残高が増加したファンドの割合を見ると、インデックスファンドの83%に対して、アクティブファンドは36%に留まった。もちろん、2022年4月のように米国株式市場が大幅に下落した場合には、インデックスファンドであっても残高減少を余儀なくされる。ただし、アクティブファンドと比べてインパクトは概ね限定的になると見られる。

 5月の純資産残高増加額の第5位にはアクティブファンドの「フィデリティ・世界割安成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし)」(愛称:テンバガー・ハンター)が入った。同ファンドは5月も純資金流入が継続した上、トータルリターンは1.96%と日本を含む世界の先進国の株価動向を示す「MSCIワールド(配当込、円ベース)」の0.09%を1.87%上回った。市場平均以上のリターンを獲得するというアクティブの本領を発揮した格好である。

 「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」「楽天・全米株式インデックス・ファンド」はいずれもつみたてNISA採用ファンドである。長期スタンスの投資家の積立投資による安定した資金流入が想定され、純資産残高も、米国株式が急落する場面は別だが、概ね継続して拡大することが見込まれる。
提供:モーニングスター社
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