株式新聞プレミアム=下値模索のリート指数、「陰の極」から反発へ

 日銀が金融政策の正常化を志向する中で、リート(上場不動産投信)への売り圧力が高まっている。ただ、市場では陰の極に達しつつあるとの見方もあり、目先底打ちの期待が浮上している。

<日銀緩和縮小が逆風に>

 リートは不動産から得られる収益を投資家に分配する金融商品で、企業の普通株式と同様に市場で売買される。金利上昇は不動産業にとってコスト高を招くため、日銀の緩和縮小がリートの投資口価格にネガティブに作用してきた。

 総合指標の東証リート指数は、13日に昨年来安値の1667.87ポイントを付け、昨年末比で7.7%下落した。特にオフィスリートの動きが軟調だ。

 日銀は来週3月18、19日の金融政策決定会合で、黒田前総裁時代の2016年1月に導入したマイナス金利政策を解除するとみられている。長期金利についてもYCC(イールドカーブコントロール、長短金利操作)撤廃が見込まれる。足元の企業の旺盛な賃上げ動向は、こうした流れを後押しする。

 東証リート指数は、長期金利が上昇傾向を強めた昨秋ごろに下落トレンドに入り、9月高値(1918.34ポイント)からの下落率が直近までに13%に達している。その間、日銀はYCCにおける長期金利の上限引き上げに動いた。植田総裁はマイナス金利の解除について、賃金と物価の好循環を見極め判断する考えを示している。

<住宅系のアコモFなど注目>

 一方、野村証券は13日付のリートセクターのリポートで、「(東証リート指数の水準は)既に相当な悲観シナリオを含有したものである」と指摘。時価は、10年物国債のOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ=固定金利と変動金利を交換するスワップの一種)が1.3%台(現在0.9%弱)まで上昇するリスクを織り込んだ水準にあると分析した。

 同証券は東証リート指数の24年度上期のレンジを1630−1820ポイントと予想。配当利回りや株価/NAV(ネットアセットバリュー)倍率も考慮した。下限は10年OIS金利1.5%、上限は同1.0%をそれぞれ織り込んだ水準に相当するという。

 また、同証券は上期は賃料上昇が支えとなる住宅リートに注目。中でも、都心住戸の家賃インフレの恩恵を期待し、日本アコモデーションファンド投資法人 投資証券(=アコモF)<3226.T>に強気の判断を示している。また、下期からは実物不動産の供給ひっ迫をテーマに、物流・オフィスリートに注目する。

 リートをめぐっては、目先は19日の会合後の植田総裁の会見が焦点だ。マイナス金利を解除した場合も、段階的な追加利上げの意向を示さなければ、いったん悪材料出尽くしになる可能性がある。
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