ウォーレン・バフェット氏の師が説くバブル崩壊を乗り切るための投資指標とは=米モーニングスター

 投資家はここ数年でITバブルと住宅バブルの崩壊に直面し、2度にわたって株価の暴落を目の当たりにした。こうした相場の大きな低迷局面で、損失を最小限に抑える投資手法はあるのだろうか。
 株価の暴落は基本的に様々な「過剰」の解消によって引き起こされる。第一に過大な株価、第二に過剰な負債である。2000年初めのITバブルでは、ハイテク株を中心に株価が異常なまでに上昇していた。S&P500指数のPERは40倍を超えていた。昨年以降の株式市場の低迷は銀行株が先導した。一部の銀行を破産に追い込んだのはバランスシート上に存在する巨額の負債だった。
 興味深いことに、この2度のバブル崩壊で最も打撃を受けたのは異なるタイプのファンドだった。ITバブルの崩壊では高PERのハイテク株など収益成長を重視したグロース型ファンドが最も大きな打撃を受けた。一方で、今回の住宅バブルの崩壊では借り入れで投融資を膨らませてきた金融株に注目したバリューファンドが深刻な状況に陥った。これは低PERで負債が少ない株式を購入していれば、いずれのバブル崩壊でも痛手を被らずに済んだことを意味する。
 具体的には、ウォーレン・バフェット氏の師であるベンジャミン・グラハム氏が提唱していた投資方法を参考にしたい。それはPER7倍以下で自己資本比率50%以上の株式を購入する投資戦略だ。まずPER7倍という数字だが、これは14%の益回りを意味する。グラハム氏の時代では、14%は最高格付け(AAA)社債利回りの倍近くの水準だった。つまり、グラハム氏は投資家が普通株を所有する対価として、最も安全な債券の利回りの約2倍は必要と考えていた。従って、基準とするPERはその時々の金利水準によって変動する。
 また、自己資本比率50%以上は、会社が過重な負債を抱えていないことを確認するための基準だ。損益計算書に書かれている利益からは、その会社の財務状況は分からない。銀行の自己資本比率は多くの場合10%程度のため、この基準を用いてスクリーニングすれば投資対象から銀行が除かれる。(2008年10月8日付コラムを抄訳)


提供:モーニングスター社
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