大和投資信託「ダイワ・アジア・バイイングパワー・ファンド」、アジア新興国の「購買力」拡大に注目(2)

 大和投資信託は3月31日に、「ダイワ・アジア・バイイングパワー・ファンド」<2010033101>を設定した。同ファンドは、アジア新興国の「バイイングパワー(購買力)」拡大の恩恵を受けると期待される日本を含めたアジア圏の企業株式へ投資する。今回は、同ファンドのファンドマネジャーである大和投資信託のエクイティ外国運用部シニアファンドマネジャーの中正功穂氏に同ファンドの概要やアジア圏の経済見通しについて話を聞いた。

 ――なぜ、今回、日本を組み入れたのか。
 「今回、投資対象企業を決めるにあたって、アジア新興国の『バイイングパワー(購買力)』の拡大を取り込める企業と考えた。先進国や準先進国の企業でも『バイイングパワー(購買力)』拡大の恩恵を受ける企業が多い。例えば、ヤクルト<2267.T>やユニチャーム<8113.T>などはアジア新興国などで広く事業展開しており、収益に貢献するようになることが期待される。実際、中国における1日当りのヤクルトの販売本数は02年から09年の7年間で約15倍となっている。こうしたことから、アジア新興国の企業だけでなく、日本企業やその他アジア先進国の企業も組み入れることにした。」

 ――アジア圏における売上高比率などの定量的なデータによって、アジアの新興国の『バイイングパワー(購買力)』の拡大を取り込める企業を選別することはあるのか。
 「今回、アジアの恩恵を受ける企業の選別という面に関しては、過去の定量データのみによって、投資対象から除外するということは行わない。将来の成長の可能性を見ることができなくなるためだ。定量的、定性的なデータやアナリストの聞き取りなどによって得られた企業の将来ビジョン、戦略などを総合的に見て判断することにしている」

 ――BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の次の国として注目を集めるインドネシアはどうか
 「インドネシアは、オートバイの販売台数が00年と09年を比較すると約6.8倍に伸びた。同国は、現在オートバイの販売台数世界の第3位の国だ。インドネシアは一次産業の比率が相対的に高い国で、昨今の商品価格の上昇の影響で一次産業に従事している人々の所得が向上している。一方で、政策金利は安定的に下がってきており、消費を拡大させている」

 ――インドネシアや台湾、韓国の株価が中国などと比較して伸びてきている。この要因はどういったところにあるのだろうか?
 「インドネシアについては、政治環境が安定してきていることが要因の一つとして挙げられる。インドネシアは09年に総選挙があり、与党が2期連続で政権を担っている。さらに、世界の商品市況が堅調に推移してきており、一次産業に関わる労働者の所得や企業の収益が増加すると期待される。こうした商品価格の上昇によって、消費拡大が期待されたことに加え、資源関連銘柄が再評価された(株価バリュエーションの上昇)ことも要因だろう」
 「台湾と韓国については輸出関連銘柄が好調なためだろう。世界景気の回復に伴い、台湾や韓国のテクノロジー関連、自動車関連銘柄の収益が向上してきている。台湾の株価の動きは中国との経済関係強化の恩恵だけではなく、世界全体または中国を除いたアジア圏の消費拡大などが押し上げていると見られる」

 ――直近の注目を集めている中国の政策金利の引き上げについてはどのように見ているか。
 「貸出金利などの政策金利の引き上げはコンセンサスとなっているだろう。ただし、政策金利の引き上げによって、経済見通しが悪化するかが問題となるだろうが、中国政府の動向を見ると経済を悪化させることなく、過剰流動性を吸収していくのではないだろうか。そういう意味では金利引き上げによって、必ずしも株価が下落するとは限らないだろう。また、金利引き上げを市場では一定程度織り込みつつあるのではないか」

 ――アジア経済に関するリスクは?
 「インフレリスクだろう。特に原油を中心とした商品価格の急激な上昇は、インドを中心とする原油輸入国にとっては実体経済だけでなく、株価にも大きく影響するだろう。また、外部要因としては、ギリシャの債務問題が悪化することなどによる信用不安の高まりはリスクとなるであろう。こうした信用不安から、外国人投資家の資金が流出するという懸念はある。ただ、かつてのアジア危機のような事態にはならないだろう」
提供:モーニングスター社
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