大和投資信託「ダイワ・アジア・バイイングパワー・ファンド」、アジア新興国の「購買力」拡大に注目(1)
大和投資信託は3月31日に、「ダイワ・アジア・バイイングパワー・ファンド」<2010033101>を設定した。同ファンドは、アジア新興国の「バイイングパワー(=購買力)」拡大の恩恵を受けると期待される日本を含めたアジア圏の企業株式へ投資する。運用については、グループ会社のダイワ アセット マネージメント(ホンコン)リミテッドおよびダイワ アセット マネージメント(シンガポール)リミテッドの助言を受け、大和投資信託のエクイティ外国運用部が運用する。各現地法人にはアナリストを配しており、同社の強みを活かした運用体制となっている。4月6日時点の純資産額は102億6877万円。販売会社は大和証券。また、同社および大和証券グループ本社はインドにおける資産運用業務への参入も発表している。
今回は、同ファンドのファンドマネジャーである大和投資信託のエクイティ外国運用部シニアファンドマネジャーの中正功穂氏に同ファンドの概要やアジア圏の経済見通しについて話を聞いた。
――同ファンドを設定した背景は。
「現在、アジア新興国では、人口に加え所得が拡大してきている。このため、人口×所得=アジア新興国の『購買力』が大きく伸びており、消費市場は拡大している。こうしたアジア新興国の消費市場拡大の恩恵を受ける銘柄へ投資することで、信託財産の大きな成長が期待できる」
「現在はアジア新興国の購買力平価ベースの1人当たりGDP(国内総生産)が1000ドルから3000ドルまで増加してきている。これは日本の1960年代から1980年代の水準と同様であり、日本の経験則からすると、特に3000ドルを超えると消費拡大の分岐点を越え、耐久消費財の普及率が大きく上昇する。この水準に中国、フィリピンやインドネシアなどが達してきている。特に、09年に中国の自動車販売台数が米国を抜いた点など中国市場の消費拡大が注目される」
「例えば、中国の自動車販売台数は、2000年では209万台程度だった。所得水準の向上やインフラ整備、自動車税制の優遇策によって、大きく需要が伸び、09年には1362万台となっている。さらに、世界の自動車メーカーは中国で新しいモデルを出している。このように大きく伸びてきているものの、中国の自動車の普及率は2.4%程度(07年時点)にとどまっている。一方で、米国は45.6%程度(07年時点)と差はまだ大きく、中国はまだ発展の余地が大きい国であると推測される。これは中国だけでなく、アジア新興国市場全体も同様であると考えられる。アジア新興国市場全体で自動車への購買意欲が離陸期にあると考えている」
――同ファンドの運用プロセスはどのようなものとなっているのか。
「初めに、アジア各国の消費動向や人口動態を分析し、投資対象とする企業を選定する。単にアジアの消費市場と言っても、その特性は国ごとに大きく異なる。そのため、各国の消費が将来どの方向へ向かっていくのか、購買意欲はどのように変化するのかについて分析する。この分析結果から、アジア新興国の消費者向けの製品およびサービスに関連する企業を投資対象企業として選定する。マクロ経済という観点では、各国の格付け動向や財政、外貨準備なども見るが、同ファンドでは特に人々の消費に与える影響が大きいものとして雇用と金利に注目している」
「ユニバース(投資対象銘柄)はアジア圏の企業で800銘柄から900銘柄程度を想定している。個別企業のアジア新興国内での事業実績や競争力、成長性などを見て組み入れ候補銘柄を選ぶ。こうして、組み入れ候補となった銘柄のうち、株価のバリュエーションや国・地域の分散などを考慮し、最終的には50銘柄から80銘柄でのポートフォリオ構築を予定している」
「投資対象国は、日本を含むアジアの国々。具体的には中国、香港、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、韓国、ベトナムなどだ。実際の運用が始まった現在では、中国やインド、インドネシアなどの構成比率が高い」
提供:モーニングスター社
今回は、同ファンドのファンドマネジャーである大和投資信託のエクイティ外国運用部シニアファンドマネジャーの中正功穂氏に同ファンドの概要やアジア圏の経済見通しについて話を聞いた。
――同ファンドを設定した背景は。
「現在、アジア新興国では、人口に加え所得が拡大してきている。このため、人口×所得=アジア新興国の『購買力』が大きく伸びており、消費市場は拡大している。こうしたアジア新興国の消費市場拡大の恩恵を受ける銘柄へ投資することで、信託財産の大きな成長が期待できる」
「現在はアジア新興国の購買力平価ベースの1人当たりGDP(国内総生産)が1000ドルから3000ドルまで増加してきている。これは日本の1960年代から1980年代の水準と同様であり、日本の経験則からすると、特に3000ドルを超えると消費拡大の分岐点を越え、耐久消費財の普及率が大きく上昇する。この水準に中国、フィリピンやインドネシアなどが達してきている。特に、09年に中国の自動車販売台数が米国を抜いた点など中国市場の消費拡大が注目される」
「例えば、中国の自動車販売台数は、2000年では209万台程度だった。所得水準の向上やインフラ整備、自動車税制の優遇策によって、大きく需要が伸び、09年には1362万台となっている。さらに、世界の自動車メーカーは中国で新しいモデルを出している。このように大きく伸びてきているものの、中国の自動車の普及率は2.4%程度(07年時点)にとどまっている。一方で、米国は45.6%程度(07年時点)と差はまだ大きく、中国はまだ発展の余地が大きい国であると推測される。これは中国だけでなく、アジア新興国市場全体も同様であると考えられる。アジア新興国市場全体で自動車への購買意欲が離陸期にあると考えている」
――同ファンドの運用プロセスはどのようなものとなっているのか。
「初めに、アジア各国の消費動向や人口動態を分析し、投資対象とする企業を選定する。単にアジアの消費市場と言っても、その特性は国ごとに大きく異なる。そのため、各国の消費が将来どの方向へ向かっていくのか、購買意欲はどのように変化するのかについて分析する。この分析結果から、アジア新興国の消費者向けの製品およびサービスに関連する企業を投資対象企業として選定する。マクロ経済という観点では、各国の格付け動向や財政、外貨準備なども見るが、同ファンドでは特に人々の消費に与える影響が大きいものとして雇用と金利に注目している」
「ユニバース(投資対象銘柄)はアジア圏の企業で800銘柄から900銘柄程度を想定している。個別企業のアジア新興国内での事業実績や競争力、成長性などを見て組み入れ候補銘柄を選ぶ。こうして、組み入れ候補となった銘柄のうち、株価のバリュエーションや国・地域の分散などを考慮し、最終的には50銘柄から80銘柄でのポートフォリオ構築を予定している」
「投資対象国は、日本を含むアジアの国々。具体的には中国、香港、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、韓国、ベトナムなどだ。実際の運用が始まった現在では、中国やインド、インドネシアなどの構成比率が高い」
提供:モーニングスター社