9月のヘッジファンドの投資成績は03年1月以来で最悪=米モーニングスター

 金融不安の中でヘッジファンドのパフォーマンスが大きく低迷している。米モーニングスターの「モーニングスター1000ヘッジファンド・インデックス」は9月に7.87%下落した。これは8月の下落率(2.96%)の2倍以上であり、同指数を開始した03年1月以来で最大の落ち込みとなった。第3四半期(7〜9月期)でみると13.17%の下落となり、年初来のパフォーマンスもプラスからマイナスに転じた。
 9月に金融市場の状況が一変したのは周知の事実であり、世界中のヘッジファンドは暴落を目の当たりにした。金融市場の流動性が著しく低下し、ボラティリティ(変動性)が極めて高くなる中で、ヘッジファンドは借り入れやヘッジ、実際の取引で苦境に立たされた。流動性の低下でTEDスプレッド(米財務省短期証券の利回りと銀行間市場金利の金利差)が急拡大したほか、投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所のVIX指数が大幅に上昇した。
 SEC(米証券取引委員会)やFSA(英金融サービス機構)が金融株のカラ売りを一時的に禁止する措置を取ったこともヘッジファンドにとっては逆風となった。カラ売りの禁止により、金融セクターの転換社債をロングポジションで運用するアービトラージ(裁定取引)型ヘッジファンドの多くが、ショート(カラ売り)でリスクヘッジをすることができなくなった。
 また、債券を投資対象としたヘッジファンドは、債券のデフォルト(債務不履行)リスクをヘッジするためのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のスプレッド(信用リスクの買い手に払う保険料)が大幅に拡大したため、魅力的な投資機会を見出しづらくなっていた。
 もっとも、株価指数先物や通貨、金利、コモディティなどを対象として、これらの商品の下落を見込んで投資するトレンドフォロー型のヘッジファンドは9月に1.26%の上昇となるなど、厳しい相場環境の中でも一定の投資成績を残したヘッジファンドも存在した。(2008年10月14日付コラムを抄訳)


提供:モーニングスター社
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