フィデリティ投信の「フィデリティ・ＵＳ・リート・ファンドＢ（為替ヘッジなし）」<2003120902>への資金流入が加速している。同ファンドの純資産額は４月２７日時点で３４６５億円超まで増加。販売会社の増加が資金流入に結びついている格好だが、２０１０年３月までの過去１年間のトータルリターン（累積リターン）は１３１．５８％の上昇となるなど、同ファンドのパフォーマンスにも注目が集まっているようだ。毎月１５日決算。

　「フィデリティ・ＵＳ・リート・ファンドＢ（為替ヘッジなし）」は、主に米国の取引所に上場する（これに準ずるものも含む）ＲＥＩＴ（不動産投資信託）に投資する。ベンチマークは、米国の代表的なＲＥＩＴ指数であるＦＴＳＥ　ＮＡＲＥＩＴ　Ｅｑｕｉｔｙ　ＲＥＩＴｓインデックス（税引き前配当込／円ベース指数）。ファンドの配当利回りがベンチマーク以上となることを目指して運用を行う。

　同ファンドの主要投資対象である米ＲＥＩＴ市場は、０９年３月以降、米経済指標の好転を受けた米主要株価指数の上昇、リスク資産への資金流入の動きと相まって、堅調展開を続けた。同ファンドが属するモーニングスターの類似ファンド分類平均「国際株式・ＲＥＩＴ（為替ヘッジなし）」（４０本）の過去１年間のトータルリターンの平均は、８３．０１％の上昇と大きく上昇した。同ファンドの過去１年間の累積リターンは類似ファンド分類のなかでもトップクラスのリターンとなるなど、好調なパフォーマンスをキープしている。

　世界的な信用市場の回復を受け、米ＲＥＩＴの資金調達環境は改善。０９年は約３４７億ドルの資金調達を行うなど、０８年の落ち込みから回復。１０年に入っても１月、２月で、約８６億ドルの資金調達を行うなど、引き続き資金調達の動きは活発だという。また、０９年１２月には小売セクターのサイモン・プロパティー・グループが同業のプライムアウトレットを買収する大型Ｍ＆Ａが起こっており、「ＲＥＩＴをとりまく資金調達環境の改善が不動産市場の活性化につながっている」（商品マーケティング部）との見方をとっている。実物不動産で見ても、新規物件の供給こそまだ低迷しているが、需要は底打ちの兆しもあり、ファンダメンタルズ面が回復傾向を示しているという。

　フィデリティは、１９８６年にＲＥＩＴへの運用を開始するなど不動産関連ファンドの運用実績は２０年以上を誇り、米国で最大規模のアクティブ型不動産関連投資ファンドの運用を行っている。同ファンドはフィデリティが重視する「ボトムアップ」での個別銘柄の積み重ねによるポートフォリオ構築を行っている。２０１０年２月末時点での組み入れ銘柄数は４４銘柄、上位１０銘柄の組み入れ比率は５３．５％。ＲＥＩＴに投資するファンドのなかでは、比較的銘柄を絞った投資を行っている。
提供：モーニングスター社