MSCIジャパン指数連動型ETFが27日に東証に上場、日興アセットは「アジアの投資家に注目」

 日興アセットマネジメントは27日に「MSCIジャパンインデックス」に連動するETF(上場投資信託)「上場インデックスファンド日本株式(MSCIジャパン)」(愛称=上場MSCIジャパン株)」<1544.T>を東京証券取引所に上場する。同ETFのメリットなどを日興アセットのETFセンター長の今井幸英氏に聞いた。(聞き手・坂本浩明)

 MSCIジャパンインデックスは、日経平均株価やTOPIXとパフォーマンスは大きく変わらないものの、「外国人投資家が日本株投資を行う際のベンチマークとして使用する代表的な指数」(今井氏)として知られる。今井氏は上場MSCIジャパン株を開発するに当たり、国内投資家だけでなく外国人投資家の存在も念頭に置いたとしている。09年の東証の部門別売買動向をみると、外国人投資家が株式の約4割、ETFの約3割を占めており、ETFを提供するうえで外国人投資家の視点を考慮することが重要と考えたという。

 今井氏が特に注目するのがアジアの投資家だ。今井氏は「アジアには日経平均株価やTOPIXのETFを保有する投資家がいる」と指摘。「上場MSCIジャパン株がアジアの投資家にとっての新たな日本株ETFの選択肢になることを期待している」と述べた。

 ニューヨーク市場にはMSCIジャパンインデックスに連動するETFがすでに上場しており、アジアの投資家が積極的に売買しているという。しかし、アジアの投資家がMSCIジャパンインデックスに連動するETFを取引する場合、時差のあるニューヨーク市場で売買するよりも同じアジア市場で取引時間帯が重なる東証で売買する方が「ETFの価格と1口当たりの推定純資産のずれが起きにくくなるといったメリットがある」(今井氏)とされる。

 コスト面での優位性も注目点の1つだ。上場MSCIジャパン株の信託報酬は年率0.16%(税抜き)とMSCIジャパンインデックスに連動するETFのなかでは世界でも最低水準になる。

 日興アセットは1月に「上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI―KOKUSAI)」(愛称=上場MSCIコクサイ株)<1680.T>、2月に「上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)」(愛称=上場MSCIエマージング株)<1681.T>を東証に上場した。上場MSCIコクサイ株は日本を除く先進国23カ国の株式、上場MSCIエマージング株は新興国21カ国の株式の市場の値動きを表す指数を連動対象とする。両ETFの登場により日本を除く先進国と新興国の株式に幅広く投資できるようになり、「いずれのETFも投資家の引き合いが強い」(同)という。さらに今回、上場MSCIジャパン株が東証に上場することで、日本を含めた世界株式のポートフォリオをMSCIシリーズの指数に連動するETFで構築可能となる。
提供:モーニングスター社
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