低金利時代の利回り重視戦略は正しいか?―プロが「投資したい商品」「避けるべき商品」

 低金利が継続するなか、利回りが高いファンドに対する注目度が高まっている。9月16−17日に米シカゴで開催された米モーニングスターの「ETF・インベスト・カンファレンス」では「利回りを求めて」と題したパネルディスカッションが行われ、「利回りを重視して債券に投資するのが正しいのか」「低コスト・分散投資を特徴とするETF(上場投資信託)で高い利回りを実現するにはどのような投資対象が有望か」といった点が議論された。

 インデックスファンド運用最大手バンガード・グループのフラン・キニリー氏は同社の見解として、利回りが低い国債や社債よりも株式の方が利益を上げるチャンスは高いと述べた。同社によると、株式全般の年リターンの予想が9−10%であるのに対し、債券全般の年リターンは2−3%にとどまる見通し。キニリー氏は「ETF・インベスト・カンファレンス」開催中に行われた米モーニングスターとのインタビューで、利回りを求めてリスクの高いハイイールド債や償還期間の長い債券に投資するよりも、株式のリターンに注目すべきだとしている。

 キニリー氏は利回りを重視しすぎたために十分に分散されていないポートフォリオには懐疑的だ。ETFにはインカムゲイン(配当収入)に重きを置いた商品が多くあるが、これらのETFの利回りは特定セクターに集中投資するリスクを考えるとそれほど魅力的ではない。

 ETF運用大手インベスコ・パワーシェアーズのエド・マクレドモンド氏は米連邦政府が州政府に対して利払いの35%を負担する「ビルド・アメリカ・ボンド(BAB)」が投資家の関心を集めているとした。BABは導入当初、利回りが社債に比べて非常に高かったものの、BABが認知されるにつれて利回りは下がってきている。BABは課税される地方債であり、これまでは社債より信用が高いものとみなされていた。しかし、各州で財政赤字の拡大が起きている現在、BABと社債を比べた場合にどちらの信用が高いかは不透明だという。

 債券ファンド運用最大手ピムコのドン・サスキン氏は新興国の現地通貨建て債券に投資妙味があるとみている。ただ、こうした債券は為替の変動リスクの方が債券の価格変動リスクよりも高いことを理解しておく必要があると指摘した。現在、ピムコではブラジルとメキシコ、韓国の債券を最も有望視している。

 脱レバレッジ(負債圧縮)や金融規制の強化、各国の保護主義政策が「ニューノーマル(新しい常識)」になりつつあり、こうした状況下ではあらゆる資産クラスのリターンは低下せざるを得ないという。サスキン氏は短期債への投資ではデフレがより高い可能性をもたらすこと、長期債への投資ではインフレが最大のリスクになりつつあることを考慮すべきだと話した。
提供:モーニングスター社
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