米モーニングスターが10年度の最優秀ファンド運用者を発表、バフェット流投資や新興国重視で好成績

 米モーニングスターは5日、優秀なファンドマネジャーを表彰する「ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤー」の10年度受賞者を発表した。

 国内(米国)株式型は「セコイア」ファンドの運用マネジャーであるロバート・ゴールドファーブ氏とデービッド・ポッペ氏、国際株式型は「ジャナス・オーバーシーズ」ファンドのブレント・リン氏、債券型は「テンプルトン・グローバル・ボンド」ファンドのマイケル・ハセンスタブ氏がそれぞれ受賞した。選考にあたっては、10年度のリターンだけでなく、長期的なリスク調整後のパフォーマンスも考慮。また、投資家重視の姿勢をどれだけ示しているか、明確な投資戦略に基づいて運用されているかといった点も評価された。

 国内株式型の「セコイア」ファンドは集中投資で知られ、ポートフォリオは15から30銘柄程度で構成される。割安株を長期保有する戦略は著名投資家のウォーレン・バフェット氏の投資哲学に近いものがあるとされ、実際にバフェット氏が経営する投資会社のバークシャー・ハサウェイも組み入れ銘柄となっている。「十分に分析したうえで長期保有していた銘柄がファンドのリターン向上に貢献した」(米モーニングスターのファンドアナリスト)という。10年度のリターンは19.5%。類似ファンドカテゴリーの平均リターン14%を上回る好成績を達成した。15年間の年平均リターンも9.7%と安定している。金融危機が起こった08年においてもリターンはマイナス27%と類似ファンドカテゴリーの平均リターン(マイナス38%)に比べて大きく落ち込まなかった。

 国際株式型で受賞した「ジャナス・オーバーシーズ」ファンドは、ブレント・リン氏が代表マネジャーに就任した03年以降、年平均19%のリターンを記録。国際株式型(大型株)ファンドでは最高のパフォーマンスとなった。同氏は新興国のなかでもインドやブラジル、中国の株式を選好。モーニングスターのファンドアナリストは、「(新興国投資において)非常に難しい年となった08年を含む過去5年の年平均リターンは13.6%だった。いかにリン氏がリスクをうまくコントロールしたかを示している」と指摘する。
 同ファンドは新興国株式に限らず、フォード・モーターなど投資妙味のある米国株式も機動的に組み入れた。リン氏自身が同ファンドに100万ドル(約8300万円)以上を投資している点や同ファンドのエクスペンス・レシオ(日本の信託報酬にほぼ相当するもの)が1%を下回る水準であることもプラス評価となった(類似ファンドのエクスペンス・レシオは1.5%超)。

 債券カテゴリーでの受賞ファンドとなった「テンプルトン・グローバル・ボンド」を運用するマイケル・ハセンスタブ氏は、「先進国が財政危機に陥るかなり前から先進国市場については懐疑的にみていた」(米モーニングスターのファンドアナリスト)。一方で、財政が健全な新興国の債券を好み、特にマレーシア、ブラジルなどの債券は最近の同ファンドの高リターンにつながった。ハセンスタブ氏は、10年度は円安が進行するという見通しでファンドを運用したが、実際には円高となりファンドのリターンは低下した。ただ、分散投資を徹底したため、投資成績が大幅に低迷することはなかった。資産残高は5年前に20億ドルを下回っていたものが10年には450億ドル以上まで急拡大。一般的にファンドの規模が大きくなると運用の柔軟性が失われてパフォーマンスが落ち込む傾向があるが、同ファンドは規模拡大とともに堅調な成績を達成している。(坂本浩明)
提供:モーニングスター社
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