インデックスファンド最大手バンガードが海外展開を加速、「欧州でETFの新ラインアップを用意」(1)

 インデックスファンド運用最大手バンガード・グループのETF(上場投信)プロダクト・マネジメント部門責任者のリック・ジノーニ氏は9日、モーニングスターのインタビューに答え、欧州やアジアなど米国以外の市場でETFビジネスをさらに拡大する方針を示した。ジノーニ氏は、「ロンドンに拠点を開設したのに続き、11年末までに欧州の投資信託に関する統一基準(UCITS)に基づいたETFの新ラインアップを用意する」と述べた。同社の米国上場ETFが他国でも購入できるように、UCITSベースのETFも世界で提供するという。

 バンガードは6日にカナダへの進出を発表したばかり。カナダでは従来、投信会社がアドバイザー(ファンド販売の仲介者)に「コミッション」と呼ばれる手数料を支払うことが一般的だった。この場合、アドバイザーはよいファンドではなく、コミッションを多く受け取れるファンドを積極的に売ろうとする傾向が強まる。バンガードはコミッションを支払う方針ではないため、カナダでは事業展開をしてこなかった。しかし、カナダが近年、コミッションではなく「フィー」ベースの販売方式に移行しつつあるため、この度進出を決定。
 フィーベースの場合、投資家の資産残高に対する一定割合が手数料としてアドバイザーに支払われるため、アドバイザーは投資家にとって本当によいファンドを販売しようとする。バンガードが注力する市場では、豪州がすでに規制当局の働きかけによりフィーベースとなったほか、英国でも今後、規制によってコミッションではなくフィーが支払われるようになる見通しだ。

<香港オフィス開設、中国本土の富裕層マネーに照準>

 バンガードはアジア市場での事業展開も加速する。同社は香港で拠点を設ける準備をしているが、ジノーニ氏は「香港は今後5年でフィーベースへの大きなシフトが起こる」と予想した。香港だけでなく、中国本土の富裕層の投資資金を獲得するうえで「香港オフィスの開設は非常に大きなビジネス機会になる」とする。香港および中国本土の投資家は香港上場ETFだけでなく、流動性が高くて品ぞろえが豊富な米国上場のETFについても高い関心を示しているという。

 一方、米国では長期・分散・低コストの投資ツールとしてETFを提供する方針を継続するが、新たな成長機会として販売事業者などを介さずETFを投資家に販売する方法を重視する考えを示した。米国では、銀行や証券会社、ファイナンシャル・アドバイザーなどが投信会社と投資家の間に入り商品を提供することが多い。こうした場合は販売手数料が発生するが、バンガードは昨年からインターネットや電話によって同社のETFを手数料なしで直接購入できるようにした。こうしたアプローチによるETFの販売は「ほぼ未開拓のマーケット」であるといい、今後も注力する方針だ。
提供:モーニングスター社
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