米国債の持ちすぎを警戒か、米国債の比率を調整するパッシブファンドへ資金流入

 モーニングスターでは、このほど2011年5月末時点で過去1年間の米国投信市場における純資金流入額(推計)を集計した。その結果、第1位は「Vanguard Total Bond Market II Idx Inv」、第2位は「Templeton Global Bond A」、第3位は「Permanent Portfolio」などとなった。

 第1位の「Vanguard Total Bond Market II Idx Inv」はバークレイズ・キャピタル米国総合浮動調整インデックスへの連動を目指すパッシブファンドである。浮動調整インデックスとは、昨今の世界的金融緩和政策の影響から、量的緩和政策に伴う政府保有債券をベンチマークの時価総額構成比率から控除した指数である。米国では直近、米国債へ投資するファンドから資金流出が継続していることから、米国の投資家は米国債を持ちすぎることにやや警戒感を持っていると推測される。

 特に、世界最大の債券運用会社PIMCOのビル・グロス氏は6月8日に開かれた「モーニングスター・インベストメント・カンファレンス」で、米国債の魅力は低く、別の投資先を考えるべきだとの見方を示している。このような米国債保有に対する警戒感が米国でも広がっており、米国債の保有額が調整されたファンドへ資金が流入しているものと考えられる。

 第2位となった「Templeton Global Bond A」は、世界の各国の債券などへ投資するアクティブファンドで、米国モーニングスターで5ツ星を獲得している(2011年5月末時点)。ベンチマークに縛られない運用で高いパフォーマンスを継続的に上げている債券ファンドの一つとなっており、2011年4月末時点における国別構成比率は韓国の15.2%、オーストラリアの10.3%、ポーランド8.8%などとなっている。先進国だけでなく新興国の債券も組み入れていることがパフォーマンス向上に寄与している。また、同ファンドでは、日本は米国よりも金融緩和政策が長く続くと見ており、為替でユーロや日本円をショート(為替ヘッジの売り)している。

 第3位の「Permanent Portfolio」は米国の株式、債券、コモディティーへ分散投資するファンドである。具体的には金20%、銀5%、スイスフラン建て資産10%、米国内外のREITや資源株15%、成長株15%、米国債または米ドル建て資産35%を基本としている。米国の金融緩和政策が継続するなか、こうした資産構成が奏功し、米国の保守的な運用を行うバランスファンドの中でトップクラスのパフォーマンスとなった。

 米国の投資家は、現在、各国の金融緩和政策をにらみつつ、投資ファンドを選択しているようである。
提供:モーニングスター社
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