プロが明かす機関投資家のETF投資最新トレンド、QE2や日銀のETF購入で「変化」(1)

 機関投資家によるETF(上場投資信託)の利用が一段と広がりを見せている。米資産運用大手ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSgA)はこのほど、機関投資家向けのETFセミナーを都内で開催。「国内金融法人や年金基金によるETF投資のトレンド」をテーマにしたパネルディスカッションが行われ、機関投資家のETF取引にかかわる現場の「プロ」が最新の動向を語った。年金運用におけるETFの利用やETF市場拡大に向けた証券取引所の取り組みについても、日米の事例が紹介された。

<QE2発表後に自己勘定によるETF投資が急増>

 セミナーでは、「日米の金融政策が機関投資家によるETFの売買動向に大きな影響を与えた」との指摘が相次いだ。ゴールドマン・サックス証券 証券部門グローバルエクイティ営業部 ヴァイスプレジデントの橋本憲氏は、FRB(米連邦準備制度理事会)が10年11月に発表したQE2(量的金融緩和第2弾)が影響したとの見方を示した。

 同氏が所属する外国株のブローカレッジ(委託売買)部門の顧客である国内金融法人は、自己資金を運用する「自己勘定型」と預かった資産を運用する「他人勘定型」に大別される。ETFへの投資は、「今のところ圧倒的に自己勘定の方が積極的。自己勘定によるETFへの投資は昨年の9月以降に増え、特に米国でQE2が発表されたあとに急増した」(橋本氏)。

 SSgA 証券営業部長の中岡寛晶氏は、ETFの開発・運用を手掛けるETFプロバイダーの観点から意見を述べた。同氏もQE2が機関投資家によるETFの投資動向に影響を及ぼしたと分析。「金融法人は08年の金融危機以降に株式の投資比率を引き下げたところが多かったが、QE2でインフレ懸念が高まったことからポートフォリオの分散を図るためにETFを利用したいとの問い合わせが増えた」と話した。具体的には、債券のなかでも投資先を分散するためにアジア債券やハイイールド(高利回り)債に関心が寄せられたほか、先進国やアジアなど新興国の株式、ゴールドといった資産を対象にしたETFも注目されたという。

 また、中岡氏によると、「日銀によるETFの買い入れの影響は大きい」。同氏は、機関投資家がETFを利用するうえで日銀のETF購入が心理的な安心感につながっているほか、ETFの認知度向上に貢献していると説明。ETFに投資している業態としては、「銀行や損害保険会社が先行していたが、昨年末から今年にかけて生命保険会社や地方銀行も積極的に外国ETFを利用するようになった」(中岡氏)とした。

<配当重視の中長期投資でETFを保有する機関投資家も>

 もっとも、ゴールドマンの橋本氏によると、今年8月の世界的な市場混乱以降はETFへの投資活動が減少しているという。ただ、比較的短期のスパンでETFを売買する「トレーディング」や「ディーリング」である自己勘定がある一方、半年以上の中・長期でETFを持つ「インベスティング」のスタンスを保つ自己勘定も存在し、「配当重視の戦略でETFに投資している」(橋本氏)とされる。

 同氏は一方で、他人勘定取引の例として信託銀行、投信や年金の運用機関におけるETFの利用法も紹介。新興国への注目度が一段と高まるなか、市場環境が未整備であったり外国人に対する投資規制がある場合、個別株を持つリスクが高い場合に、マーケットにアクセスするためのツールとしてETFを利用するケースが見られると説明した。

 SSgAの中岡氏によると、投信の運用会社ではETFをファンドのポートフォリオに組み入れる動きが見られている。これにより、「商品設計をシンプルにして、個人投資家にも分かりやすくするといったメリットがある」(中岡氏)。同氏はさらに、SSgAのETFを利用する機関投資家からは、「ETFのメリットとして投資開始後のモニタリング(監視)やレポーティング(報告)といった作業の負担が少ないという声が多く寄せられている」と語った。
提供:モーニングスター社
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