フォルティスAMが中国株ファンドを相次いで設定、「日興フォルティス中国A株ファンド」は2日で完売

 フォルティス・アセットマネジメントは7月31日、「中国プラスA株ファンド(愛称=加油)」(追加型/海外/株式)の設定・運用を開始する。
 日興コーディアル証券が販売し、6月19日に設定・運用を開始した「日興フォルティス中国A株ファンド(愛称=万里)」(追加型/海外/株式)は当初募集期間中(実際にはほぼ2日)で当初募集上限額550億円に接近し、現在は販売を停止中。
 野村アセットマネジメントが3月27日に設定・運用を開始した、同じく中国株に投資する「野村新中国株投資」(追加型/海外/株式)は7月9日時点の純資産総額が1242億円。フォルティスAMはこのファンドの中国A株に投資する部分への運用指図の権限を持っており、フォルティスAMはこのところ好調な中国株ファンドに大きくかかわっていることになる。

 フォルティス・アセットマネジメントが中国株ファンドを相次いで設定した背景には、その豊富なQFII(適格国外機関投資家)枠にある。原則、中国A株への投資はQFII枠を通じた投資のみとなっている(香港市場上場のETFを通じた投資などは可能)。
 一方、2009年3月時点での投資限度額で見るとフォルティス・グループのQFII枠の投資限度額は5億ドルと3位で(1位はUBSグループで8億ドル)、例えば5位の日興アセットマネジメントの4.5億ドルと比較してそれほど大きいというわけではない。ただ、QFII枠は元本ベースでの金額であり、実際の運用金額とは異なっている。フォルティスAMは上海A株の大幅上昇以前の2004年から2007年にかけて、3度にわたりQFII枠を獲得。その後は中国A株の大幅上昇で実際の運用金額は急拡大した。2007年後半以降は人民元建て債券に投資するファンドへのニーズが高まり、資金のシフトが行われたため、その後の株価の急落の影響がより少ないものとなった。

 フォルティス・グループでは、中国大手のハイトン証券と合弁運用会社の「フォルティス・ハイトン・インベストメント・マネジメント」を2003年4月に設立。これは、中国で最初に認可を受けた外資系合弁資産運用会社の一つであり、現地でも運用会社として高い評価を受けており、運用ファンドのトラックレコードも良いという。今回の「日興フォルティス中国A株ファンド」「中国プラスA株ファンド」もフォルティス・ハイトンの運用助言を受ける。
 フォルティス・ハイトンは35人の運用プロフェッショナルを擁し、株式ファンドマネジャー6人、株式アナリスト12人を抱えるなど、現地でも有数の人員体制を整えている。特に中国A株市場は銘柄が多い(「日興フォルティス中国A株ファンド」の投資ユニバースは約1600銘柄)半面、「上位10銘柄で時価総額45%程度を占めるが、中小型の銘柄も多い」(フォルティスAM・投信営業部)とバランスに欠ける面があり、特に企業調査などのボトムアップリサーチが重要視されるという。一方で、外資流の洗練されたリスク管理も行うことで、ファンド運用の効率を上げている。

 今回の「中国プラスA株ファンド」は、当初募集期間が7月13日から7月30日までとなる。販売会社は、みずほインベスターズ証券、楽天証券、オリックス証券。「日興フォルティス中国A株ファンド」の投資対象はA株のみだったが、今回の「中国プラスA株ファンド」は、A株、B株、H株、レッドチップ株が投資対象となり、「当初中国A株への投資比率は3割程度になる予定」(同)という。株式ポートフォリオは約60銘柄から100銘柄で構成される。中国A株への投資の難点は低流動性にあるが、H株なども投資対象とすることで日々の申し込み、解約が可能となっている(クローズド期間は10月31日まで)。
提供:モーニングスター社
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