「グロソブ」の国際投信が描く投資戦略、新興国通貨13年後半に妙味

 国内ファンド純資産総額最大の「グローバル・ソブリン・オープン(通称グロソブ)」を運用する国際投信投資顧問は20日、同社ファンドの販売会社などを対象にした「第1回国際投信経済セミナー」を開催し、投資情報部長の荒武秀至氏が国内外経済の動向について講演した。

 同氏は各国の政策対応を背景に今後は「投資家のリスク志向が緩やかに高まる展開が続く」と予想。13年に米国経済はQE3(量的金融緩和第3弾)が景気を下支えし雇用と住宅が引き続き改善する見通しのほか、欧州は行き過ぎた緊縮財政の揺り戻しでプラス成長を達成するとみる。新興国の景気は足元鈍化しているが、相次ぐ金融緩和などの対策により「13年前半に底入れし後半には利上げが視野に入る」との見通しを示した。

 景気悪化懸念がくすぶる中国は、財政・金融政策で景気刺激をしているため急激な下ブレは見込みにくい。当局は成長率をある程度鈍化させてでも、貧富の格差などの問題解決を優先しており、持続可能な成長ペースに落ち着くことはむしろ望ましいとした。

 欧州など格下げが立て続けに起こっている先進国とは対象的に、新興国は格上げされる国が相次ぎ信用面での魅力も高まったとされる。新興国は2000年以降、輸出により外貨を稼げるようになり、経常収支が改善。一方、新興国投資のネックだった高いインフレ率も低下した。10年前にインフレ率が10%を超えていたトルコなどの新興国は物価が高すぎて信用が置けなかったが、「この10年で様変わりし、投資対象の仲間入りをした」と荒武氏は述べた。

<円高一服、為替ヘッジなしの外債投資に注目>

 新興国の通貨は、昨年から大幅利下げを行ってきたブラジルのレアルを筆頭に年内は追加の金融緩和が想定されるなか軟調推移が見込まれるという。「ブラジルは年内にまだ少なくとも1回の利下げがあると予想されるため、レアルはまだ下げ止まっていない」とする。もっとも、荒武氏は新興国が13年後半から利上げ局面に入るとみており、金利上昇に伴い通貨高に転じるシナリオを描く。

 外債投資の面では円高が一服したことに着目。米国やドイツ国債の金利が下げ止まり、日本との金利差縮小余地が少なくなったことで「円高にブレーキが掛かり始めている」と分析する。円高進行局面では為替ヘッジ付きの債券投資が安定したパフォーマンスを達成してきたが、円高に歯止めが掛かるなかで為替ヘッジなしの海外債券にも投資妙味が出てきた。今年に入ってからは米国債やドル建ての新興国債券の投資成績が底堅さを増しているという。
提供:モーニングスター社
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