BNYメロン・アセット、「条件付き後払い申込手数料」のファンドが人気化

 BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンはこのほど報道機関向けセミナーを開催し、リテール営業本部長の岸本志津氏が投信業界の動向と見通しについて説明した。同社は米金融大手バンク・オブ・ニューヨーク・メロン傘下の会社として日本で個人や機関投資家向け資産運用ビジネスを展開。BNYメロン・グループ全体の総運用資産残高は約1.36兆ドル(約126兆円)で、機関投資家向け運用資産残高は世界有数の規模を誇る。

 岸本氏は冒頭、昨年同社が新規設定したファンドや拡販した既存ファンドを紹介。同氏は2年前の時点で通貨選択型ファンドのブームが「どこかで破たんする」と予想していたと述べ、他社との差別化ポイントとして昨年は「為替リスクに配慮したミドルリスク、ミドルリターンのファンドを多くした」という。実際、昨年は為替リスクをヘッジする「日興インサイト新興国社債ファンド・円ヘッジ」を新規設定したほか、拡販した「日興BNYメロン・利回り債券3分法ファンド」は、約1300億円の純資産残高のうち円ヘッジコースが9割を占める人気ぶりだ。

<グループ傘下に独自性高い運用会社ずらり>

 もう1つ同社が差別化を意識して昨年の新規設定や拡販ファンドで利用したのが「条件付き後払い申込手数料」という仕組みで、「最近非常に人気化している」と岸本氏は話す。ファンド購入時に通常支払う申込手数料がない代わりに、解約時にファンドの保有期間に応じ手数料が発生するもので、長期保有するほど解約手数料率が低くなり投資家にとってはメリットが大きい。一方、運用会社としては申込手数料が徴収できないものの、投資家が長く保有することによってその期間中に信託報酬が得られる。

 同社の野村証券向け「BNYメロン米国投資適格社債ファンド」シリーズも条件付き後払い申込手数料を採用。野村証券がこの仕組みを用いたファンドを販売するのはBNYメロン・アセットの商品が初めてだったといい、同分野では先駆者的な運用会社として知られる。

 また、岸本氏は同社の運用体制について、「BNYメロン・グループ最大のウリは、傘下にある多数の運用会社がそれぞれ非常に独自性の高い運用を行っていること。われわれはこうした運用会社をパーツとして組み合わせた商品提供を行い、差別化を図っている」と語った。その例として挙げたファンドが昨年設定した「グローバルリートプレミアム」。リート(不動産投資信託)部分の運用は不動産投資が専門のウルダン社が担当する一方、オプション戦略は同分野を得意とするインサイト社が行う。

<短期売買ニーズ満たす一方、ディフェンシブなファンドも投入>

 13年の証券会社向けファンドについて同氏は、マーケット環境が改善するなかで高いリスクを取り、投資家の短期売買ニーズを満たすことで実績報酬を得るような商品の投入が考えられると説明。一方、短期間で大きく値上がりすると利益確定で売却され資産が安定して根付かない傾向があることから、リスクを抑えた商品の提供も検討。「株式の組み入れは行うが、アロケーション(配分)によりある程度ディフェンシブにすることで緩やかに基準価額が上昇するファンドが必要」とした。

 銀行向けにはマーケットがある程度回復したことで資金流入の加速が見込まれるため、既存販社の販売サポートを充実させる。また純資産残高が大きい「グローバル・ハイ・イールド・ボンド・ファンド」が三井住友銀行向け専用ファンドであることから、より幅広い販社で取り扱える将来の旗艦ファンドを育成する考えだ。
提供:モーニングスター社
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