国内投信は2カ月ぶり流入超、ラップ口座専用は過去最高―2014年12月推計資金流出入

<2カ月ぶりの流入超、大規模流出から一転>

 モーニングスターの独自推計によると、国内追加型株式投信(ETF除く)は2014年12月に8549億円の純資金流入と、2カ月ぶりに流入超となった。11月は日経平均株価の大幅上昇を受けて「国内株式型」ファンドを中心に利益確定売りが強まったことなどから、9728億円の純資金流出とデータが確認可能な1997年4月以降では過去最大の純資金流出額を記録していたが、12月は一転して高水準の流入額となった。円安を追い風に海外の株式などに投資するファンドに資金が集まったほか、ラップ口座専用ファンドへの資金流入が加速し、全体をけん引した。

<純資金流入額トップは「国際株式型」、円安が海外投資促す>

 国内投信における純資金流入額をモーニングスター大分類別で見ると、第1位は「国際株式型」で3237億円、第2位は「国内債券型」で1063億円、第3位は「バランス型」で955億円となった。「国際株式型」は12カ月連続の資金流入超。その他の海外資産関連では、第4位の「国際債券型」が891億円の純資金流入、第5位の「国際REIT型」が865億円の純資金流入となり、いずれも2カ月ぶりの資金流入超と、根強い人気を見せている。

 12月は原油価格やロシア・ルーブルの急落を受けて市場が動揺する場面もあったが、その後はダウ工業株30種平均が史上初めて1万8000ドル台に乗せるなど、株式を中心にリスク資産への投資意欲が依然として強いことが示された。外国為替市場では一時、約7年4カ月ぶりに1ドル=121円台まで円安・ドル高が進んでおり、円安基調の継続も海外投資を促したとみられる。

<ラップ口座専用ファンドが過去最高の資金流入、債券型中心に人気>

 なお、大分類別で第2位が「国内債券型」となった背景には、ラップ口座専用ファンドの人気拡大がある。12月にラップ口座専用ファンドは2610億円の純資金流入となり、直近に記録した2014年10月の2308億円の純資金流入を上回り、データが確認可能な1998年5月以降では最大の流入額を記録した。ラップ口座専用ファンドのうち、大分類別では「国際債券型」の920億円の純資金流入に続き、「国内債券型」が785億円の純資金流入で第2位となっている。過去1年で見ても、株式型より債券型への流入が多い状況は変わらない。ラップ口座は顧客の要望に応じて投資対象や配分を柔軟に変更できる点が特徴だが、債券のようにリスクを抑えながら安定した利回りが期待できる資産を中心に組み入れる動きが目立つ。

<新興国動揺でも高配当株ファンドに資金流入、“ラップ型ファンド”への注目も高まる>

 個別ファンドの純資金流入額ランキングでは、足元でのロシアなど新興国市場の動揺にも関わらず関連ファンドが上位となっている点が注目される。第2位は「ピクテ 新興国インカム株式(毎月決算型)」で576億円の純資金流入、第4位は「アジア・オセアニア好配当成長株(毎月)」で336億円の純資金流入となった。いずれも高配当株に投資する毎月分配型ファンドだ。ロシア・ルーブルの急落で単一の新興国に投資するリスクが改めて意識されたが、これらのファンドは複数国に分散投資するタイプであり、また根強い毎月分配金型の人気もあり、相場動向にかかわらず資金を集めている。

 もう一つの最近の売れ筋は、大分類でも純資金流入額で第3位となった「バランス型」だ。トップ10には入らなかったが、第12位が「コア投資戦略ファンド(成長型)」、第28位が「スマート・クオリティ・オープン(安定型)」、第30位が「コア投資戦略ファンド(安定型)」となっており、いずれも100億円以上の純資金流入となった。これらの“ラップ型ファンド”は、投資家のリスク許容度に応じて「成長型」や「安定型」などのタイプを選べる点が魅力。少額から投資できるため、ラップ口座に投資するほど多額の資金がない投資家にとっての選択肢として注目を集めている。

 一方、純資金流出額ランキングでは、第1位が「フィデリティ・USハイ・イールドF」で342億円の純資金流出、第3位が「GS ハイ・イールド・ボンド・ファンド」で224億円の純資金流出となるなど、流出額トップ10本のうち4本がハイ・イールド債券に投資するファンドとなっており、高利回りを背景にした人気に陰りが見え始めた。
提供:モーニングスター社
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