ヘルスケアは成長産業、新薬開発“大勃興期”に米ジャナス独自調査で差別化=DIAMセミナー

 DIAMアセットマネジメントは30日、ヘルスケア業界をテーマにしたメディア向けセミナーを開催した。同社の株式運用本部上席ポートフォリオマネジャー林幸弘氏は、「米国株は割高ではないが、かつてほど割安でもない。今後は投資テーマやスタイルを選別する必要がある。安定的に高いパフォーマンスを達成してきたヘルスケアは注目だ」と述べた。

 林氏によると、13年以降の米国株式のリターンは13年に景気敏感銘柄、14年にディフェンシブ銘柄が優位とまちまちだったが、セクター別ではヘルスケアが常に上位であり、15年も年初来(7月20日まで)でトップ。新薬開発が“大勃興期”を迎えたことがヘルスケアの最大の押し上げ要因だと言う。米国の新薬承認件数は過去10年の平均が26.8件であるなか、11年以降は平均を上回るペースを維持し、特に14年は41件と過去10年で最高になった。林氏は「新薬開発による業績拡大への期待が高い。ヘルスケアはディフェンシブではなく、成長産業と考えるべきだ」と指摘した。

 DIAMアセットマネジメントが14年8月に設定した「メディカル・サイエンス・ファンド(愛称:医療の未来)」(以下、当ファンド)は株式の運用などを米運用会社のジャナス・キャピタル・マネジメント・エルエルシーに委託している。ジャナス・キャピタル・インターナショナル・リミテッド日本代表の丸井英樹氏は講演で、ジャナスの調査力を強調。当ファンドの運用チームは全員が理工系出身で、ポートフォリオマネジャーが生化学学士であるほか、医学博士号取得者のアナリストも属する。丸井氏は、「新薬1つの開発にはおよそ1000億円の費用がかかると言われる。開発対象のうち実際に市場に出るのは10分の1だ。さらに販売が市場の見込みを大きく下回るケースも多く、調査による見極めが極めて重要」と指摘。医師への取材などの独自調査が競合ファンドとの差別化になっているとした。

 当ファンドと同様の運用戦略の米国籍ファンドは15年6月末時点でモーニングスターレーティングが4ツ星(最も設定が古いシェアクラスが対象)と、5段階で上から2番目の優れた評価を獲得している。日本でも当ファンドのパフォーマンスは良好で、累積リターン(税引き前分配金再投資ベース)は15年6月末までの設定来で58.09%と、モーニングスターカテゴリー「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」の平均を39.97%上回る。

 また、当ファンドの純資産額は設定から半年経たずに1000億円を突破した。DIAMアセットマネジメントの情報サービスグループのグループリーダー花村泰廣氏は、「販売会社が預かり資産を重視した営業に力を入れ、ポートフォリオのコアとサテライトに最適な商品ラインアップを増やそうとするなかで、サテライト拡充の一歩として当ファンドを検討したいという問い合わせが増えている」と話した。
提供:モーニングスター社
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