アクティブ運用残高で全米NO.1のキャピタル、投資も経営も長期の視点で高い成果

 米国籍のアクティブファンドでトップシェアを誇るキャピタル・グループ(以下、キャピタル)の株式ポートフォリオ・マネジャーであり、同グループの経営委員会メンバーでもあるロブ・ラブレス氏(以下、ラブレス氏)の来日に伴い、キャピタルが投資家から支持を集め続けている理由、今後の日本でのビジネス展開などについて、モーニングスター(以下、MS)がインタビューを行った。

 MS――キャピタルが運用する「American Funds Invmt Co of Amer」は80年以上の運用実績を有し、15年7月末の純資産額でも米国株式ファンドでトップ10にランクインするなど、投資家の信頼は厚い。

 ラブレス氏――創業者がキャピタル・グループを設立したのは1931年である。利益や売上高に基づいて投資すべき企業を選ぶとの考え方は、今でこそ当たり前の概念だが、当時では先駆的な発想だった。この概念が適用されたのが「American Funds Invmt Co of Amer」であり、今でもその概念は引き継がれている。

 MS――キャピタルが運用する米国籍ファンドの純資産残高は過去20年間で10倍になっている。すべてアクティブファンドで構成されており、アクティブファンドのシェアでは全米トップを誇るが、他社とはどのように差別化を図ってきたのか。

 ラブレス氏――我々の競争優位性は3つの異なる分野にあると考えている。第1に時間軸だ。我々は長期的な視点を念頭に置いており、平均保有期間は3〜4年で、10年以上組み入れている銘柄も複数ある。第2に株式非公開の会社形態だ。自社株の株主構成が安定的で、財務内容も極めて健全であるため、社員は雇用不安を抱くことなく、市場がどれだけ変動しようとも、運用に集中できる。第3に「キャピタル・システム」だ。「キャピタル・システム」では、異なる投資スタイルを持つ複数の運用担当者を一つのチームにまとめる。これがリターンの山と谷をなだらかにする効果を生み出し、特に市場下落時に資産の保全効果をもたらしている。

 MS――長期投資は個人投資家にとっても重要だが、どのように考え、実践すればいいのか。

 ラブレス氏――「投資し続ける」ことは、退職後の収入の確保と豊かな老後を実現するために重要なポイントだが、最大の課題は「恐怖心」にある。投資のプロか否かを問わず、恐怖心は常に付きまとうため、相場下落時には神経質になり、市場から退出してしまう。投資家に「投資し続けて」もらうためには、相場下落時でのファンドの実績や運用会社としての経営のあり方が重要だと思う。このため、キャピタルの運用では保守的なアプローチを基本とし、運用担当者に対しては雇用の安定を与える長期視点の経営を志向している。運用担当者の平均在籍期間は数十年におよび、長期の視点で運用業務に取り組んでおり、社員の報酬は、1年に加え、長期の4年と8年も加味した平均実績に基づき支払われている。

 MS――米国モーニングスターのファンドアナリストが選ぶ「Fantastic50」にも、50ファンド中キャピタルのファンドが11本も選ばれるなど、米国では一般からプロまで幅広い投資家層から長期投資家として高い評価を得ている。一方、日本では長期投資家の考えが一般投資家の間に根付いていないのが現状だが、どのように考えているか。

 ラブレス氏――キャピタルが、日本に拠点を開設したのは1980年代だが、日本株への投資は古く1950年代から開始し、これまで深く関わってきている。日本では厳しい市場環境が長く続いたため、投資に対する恐怖心から、投資家は長期投資を実際に信用していないかもしれない。しかし、日本の投資家は、貯蓄の価値を十分に理解している。この点は、これから長期投資に向かうにあたって、非常に良いスタートとなる。政府もNISA(少額投資非課税制度)などを導入していることから、今後は変化する可能性がある。そうした中では、アクティブ運用、特に我々の「キャピタル・システム」は、下落リスクを軽減することで、難しい局面でも投資家に投資し続けられる運用システムだと自負している。今後は日本の投資家からさらに信頼を得て、実際に投資をし、長期で保有し続けてもらえるような運用戦略やファンドを提供していくことが重要だと認識している。
提供:モーニングスター社
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