第3四半期の急落局面を回避した「リスク・ファクター」に注目する投資戦略

 「今後は、資産クラスではなく、マーケットを動かす“リスク・ファクター”を分散する投資を行うべきである」と、DIAMアセットマネジメント(以下、同社)の運用ソリューション本部・本部長兼運用ソリューション本部クオンツ運用グループ・グループリーダーである星野元伸氏は11月26日に開催された同社セミナーにて述べた。

 リスク・ファクターを分散する投資とは、具体的には「グローバル・リスク・ファクター・パリティ戦略」(以下、同戦略)」を指す。星野氏は、「各リスク・ファクターが資産にどれだけの影響を及ぼすか確認し、ファンド全体において各リスク・ファクターが持つリスクの比率が均等になるように資産配分を行うことで、特定の要因に影響を受けすぎない、安定したポートフォリオを構築することを目指している」とし、「同戦略だけではすべての資産が下落する局面において収益の安定化が難しくなるため、下値を支える戦略を組み合わせることでパフォーマンスの安定化を図る」としている。

 08年の金融危機時には従来型の分散投資が有効に機能しなかったこともあり、近年はポートフォリオの各資産の価格変動率(リスク)を均一(パリティ)にする「リスク・パリティ戦略」に注目が高まるなか、同社ではさらに一歩進んで「リスク・ファクター」に注目した運用戦略を実践している。「リスク・ファクター」とは、資産価格変動をもたらす基本的リスクの源泉のことで、経済成長、金利、インフレなどを指す。例えば、米国の金利上昇は株式だけでなく、米国債、ハイイールド債などの他の資産にも影響を及ぼすことに注目し、各資産がどのような共通したリスク・ファクターに影響を受けているか分析した上で、リスク・ファクターが均一になるように資産配分を決定する。これにより、特定のリスクに影響を受けにくいポートフォリオの構築が可能となる。

 実際に、同社が同戦略で運用する公募ファンド「投資のソムリエ」<2012102602>の15年9月末までの過去3カ月間のトータルリターンはモーニングスターカテゴリー「安定」の平均を2.81%上回り、上海総合指数の急落などで波乱の展開となった中でも、相対的に優れた運用成績を示している。また、同年10月末までの過去3年間のリスク(標準偏差)もカテゴリー内では上位29%の低さ。こうした長期的にリスクを抑えた運用などが継続的に投資家の支持を集める一因となっており、月次の純資金流出入額では15年10月まで25カ月連続の資金流入超過、同月末の純資産額が約320億円と、カテゴリー内では99本中第6位にランクインする人気を誇る。同社の情報サービスグループ・グループリーダーの花村泰廣氏によると、「銀行のお客様など、安定的な資産運用を求める方に好まれている」ようだ。
提供:モーニングスター社
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