モーニングスター年末特集=ハイイールド債券“逆襲”なるか、米に勝ち組のセオリー(2)
(1)からつづき
<“不人気”のハイイールドで“人気”のアクティブファンド、高評価の理由>
一部ファンドの清算などを受けてハイイールド債券への懸念が高まっているのは確かだが、米投信市場の資金動向を見ると、決して“総悲観ムード”ではない。米国籍オープンエンドファンド(ETF含む、MMF、ファンド・オブ・ファンズ等による重複除く)のうちハイイールド債券ファンドの純資金流出入額(推計値)は2015年11月末までの年初来で11.5億ドル(1412億円)の純資金流出となり、2014年の154億ドルの純資金流出に続き2年連続の流出超と人気には陰りが見られるものの、個別ファンドで見ると高水準の流入超を継続しているファンドもある。年初来の純資金流入額トップ5の中では、第2位が「SPDRR バークレイズ・ハイ・イールド債券 ETF」、第3位が「iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債」とETFが2本ランクイン。ハイイールド市場全体の反転を狙った逆張りの資金が流入している。
また、第5位となった「バンガード・ハイイールド・コーポレート・ファンド」はハイイールド債券の運用に定評があるアクティブファンドだ。米モーニングスターの定量評価であるスターレーティングは5段階で2番目に高い4つ星、定性評価のアナリストレーティングも同じく5段階で2番目に高い「Silver」。
同ファンドは米運用会社のウエリントン・マネ−ジメントが実質的に運用する。高評価の理由は主に(1)適切な信用リスクの管理、投機的格付けの中では最も信用力が高いBB格の比率を高位で維持(2)安定的なフリー・キャッシュ・フローの創出が見込める業種(通信・テクノロジー・金融)や企業を選好、エネルギーへの投資は抑制(3)約20年の運用・調査経験を有するファンドマネジャーと14人のアナリストによる徹底した個別銘柄調査――などとなっている。特に(3)は、エネルギーセクターの急落を受けて特定セクターに偏った戦略が十分に機能しない可能性が意識されるなか、個別銘柄の選定に強みを持つことは勝ち組のセオリーとして注目されそうだ。
<国内投信は? ―年初来ではアジアが良好、米国も健闘>
国内投信では、どのようなハイイールド債券ファンドが有望か。ハイイールド債券ファンド(為替ヘッジあり・為替ヘッジなし)のうち、「モーニングスターレーティングが5つ星」「純資産額が10億円以上」を条件にスクリーニングし、年初来のトータルリターンが高いトップ10のファンドをまとめた。トップ3を独占したアジアのハイイールド債券ファンドは、米国のハイイールド債券ファンドに比べてエネルギー価格の影響を受けにくかったことが奏功。第2位の「アジア・ハイイールド債券F(H無)」<2012061201>は運用効率を示すシャープレシオが過去3年で1.91と、カテゴリー内160本中でトップだ。従来は米国中心だったハイイールド債券ファンドだが、ラインナップの充実により投資対象がアジアや欧州に広がっており、米国に偏っている投資家は分散を検討するのもよいだろう。
米国のハイイールド債券を主要投資対象とするファンドでは、「インベスコ マンスリー・インカム・ファンド」<1998022501>が第7位と健闘した。11月末時点のBB格の組入比率は約半分と、ハイイールド債券の中では相対的に格付けの高い債券を中心に組み入れる点が良好なパフォーマンスにつながっている。第8−10位はいずれも米運用会社のロード・アベット社が実質的な運用行うファンドだ。10位の「MHAM USインカム毎月コース(H無)」<2001120301>はハイイールド債券だけでなく、高格付け債にも投資を行う点が特徴。同月末時点では投資適格となるBBB格以上がポートフォリオの約33%占めており、ハイイールド債券が全般的に下落する中でも底堅いパフォーマンスとなっている。(坂本浩明)
提供:モーニングスター社
<“不人気”のハイイールドで“人気”のアクティブファンド、高評価の理由>
一部ファンドの清算などを受けてハイイールド債券への懸念が高まっているのは確かだが、米投信市場の資金動向を見ると、決して“総悲観ムード”ではない。米国籍オープンエンドファンド(ETF含む、MMF、ファンド・オブ・ファンズ等による重複除く)のうちハイイールド債券ファンドの純資金流出入額(推計値)は2015年11月末までの年初来で11.5億ドル(1412億円)の純資金流出となり、2014年の154億ドルの純資金流出に続き2年連続の流出超と人気には陰りが見られるものの、個別ファンドで見ると高水準の流入超を継続しているファンドもある。年初来の純資金流入額トップ5の中では、第2位が「SPDRR バークレイズ・ハイ・イールド債券 ETF」、第3位が「iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債」とETFが2本ランクイン。ハイイールド市場全体の反転を狙った逆張りの資金が流入している。
また、第5位となった「バンガード・ハイイールド・コーポレート・ファンド」はハイイールド債券の運用に定評があるアクティブファンドだ。米モーニングスターの定量評価であるスターレーティングは5段階で2番目に高い4つ星、定性評価のアナリストレーティングも同じく5段階で2番目に高い「Silver」。
同ファンドは米運用会社のウエリントン・マネ−ジメントが実質的に運用する。高評価の理由は主に(1)適切な信用リスクの管理、投機的格付けの中では最も信用力が高いBB格の比率を高位で維持(2)安定的なフリー・キャッシュ・フローの創出が見込める業種(通信・テクノロジー・金融)や企業を選好、エネルギーへの投資は抑制(3)約20年の運用・調査経験を有するファンドマネジャーと14人のアナリストによる徹底した個別銘柄調査――などとなっている。特に(3)は、エネルギーセクターの急落を受けて特定セクターに偏った戦略が十分に機能しない可能性が意識されるなか、個別銘柄の選定に強みを持つことは勝ち組のセオリーとして注目されそうだ。
<国内投信は? ―年初来ではアジアが良好、米国も健闘>
国内投信では、どのようなハイイールド債券ファンドが有望か。ハイイールド債券ファンド(為替ヘッジあり・為替ヘッジなし)のうち、「モーニングスターレーティングが5つ星」「純資産額が10億円以上」を条件にスクリーニングし、年初来のトータルリターンが高いトップ10のファンドをまとめた。トップ3を独占したアジアのハイイールド債券ファンドは、米国のハイイールド債券ファンドに比べてエネルギー価格の影響を受けにくかったことが奏功。第2位の「アジア・ハイイールド債券F(H無)」<2012061201>は運用効率を示すシャープレシオが過去3年で1.91と、カテゴリー内160本中でトップだ。従来は米国中心だったハイイールド債券ファンドだが、ラインナップの充実により投資対象がアジアや欧州に広がっており、米国に偏っている投資家は分散を検討するのもよいだろう。
米国のハイイールド債券を主要投資対象とするファンドでは、「インベスコ マンスリー・インカム・ファンド」<1998022501>が第7位と健闘した。11月末時点のBB格の組入比率は約半分と、ハイイールド債券の中では相対的に格付けの高い債券を中心に組み入れる点が良好なパフォーマンスにつながっている。第8−10位はいずれも米運用会社のロード・アベット社が実質的な運用行うファンドだ。10位の「MHAM USインカム毎月コース(H無)」<2001120301>はハイイールド債券だけでなく、高格付け債にも投資を行う点が特徴。同月末時点では投資適格となるBBB格以上がポートフォリオの約33%占めており、ハイイールド債券が全般的に下落する中でも底堅いパフォーマンスとなっている。(坂本浩明)
提供:モーニングスター社