モーニングスター年末特集=ファンド“ニュース”オブ ザ イヤー2015―投信動向を振り返る(1)

 2015年も残すところあとわずか。この1年で筆者(ファンドアナリスト)が個人的に印象に残った投資信託関連のニュースやデータを「ファンド“ニュース”オブ ザ イヤー2015」として紹介したい。

<日本でもパッシブ比率が急拡大、3割突破が目前に>

 米国籍ファンド(注1)のパッシブ比率(純資産額全体に占めるパッシブファンドの比率)は、2014年12月末に月末基準で初めて3割の大台を突破したあと、15年11月末時点では31.9%までそのシェアを拡大している。日本でも投資家のコスト意識の高まりやETF(上場投資信託)の普及を背景に、アクティブからパッシブへの移行が進み、国内籍ファンド(注2)のパッシブ比率は2014年末時点の23.3%から11月末時点の29.7%と拡大した。米国に遅れること1年、3割突破が目前に迫っている。

 (注1)米国籍オープンエンドファンド(ETF含む、MMF、ファンド・オブ・ファンズ除く)が対象
 (注2)国内追加型株式投資信託(確定拠出年金向けファンドおよびラップ口座専用ファンド、ETF等含む)が対象

<グロソブなど1兆円ファンドから陥落も、新たに3本が仲間入り>

 4月にグローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)<1997121801>の純資産残高が約12年半ぶりに1兆円の大台を割り込んだという内容のニュースを以前に配信した。グロソブと言えば、ピーク時には5兆7685億円の純資産残高を誇り、長らく毎月分配型ファンドの代名詞にもなっていたファンドだ。15年はグロソブ以外にも1兆円ファンドの顔ぶれが変化した。昨年末時点で9本存在した1兆円ファンド(ETF4本を含む)のうち、グロソブとドイチェ・高配当インフラ関連株(米ドル)毎<2010102802>は11月末時点で純資産残高1兆円を割り込む一方、フィデリティ・USリートB(H無)<2003120902>と、ETFのダイワ 上場投信−トピックス<1305.T><2001071102>、上場インデックスファンドTOPIX<1308.T><2001122001>が新たに1兆円ファンドの仲間入りを果たした。ここでもETFの存在感が高まっていることがわかる。

<“爆買い”は投信の世界でも? ―「日本企業価値向上ファンド」など>

 今年のマーケットを動かしていたのは、“トリプルスリー”ならぬ、「中国経済の減速」「米国の利上げ」「原油価格の急落」の“トリプルウォーリー(3つの心配事)”であった。海外株式や海外債券などが軟調に推移するなか、日本株式については、4月に日経平均株価が約15年ぶりに2万円台を回復するなど好調を維持し、ファンドの世界でも“一人勝ち“となった。

 また、日本株ファンドは人気の面でも話題となった。4月設定の日本企業価値向上ファンド(限定追加型)<2015040301>は、当初の想定よりも資金が集まり過ぎたため、募集開始後わずか2週間足らずで新規の購入申し込み受け付けを停止した。この間、実に2000億円以上の資金を集め、“爆買い”の様相を呈した。

 また、14年4月設定の日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)<2014040403>と今年2月設定のJPX日経400アクティブ・プレミアム(毎月)<2015021205>も、11月末までの年初来の純資金流入額がいずれも3000億円を上回った。これらは日本株式への投資に加えて、前者は「円売り/ブラジルレアル買い」、後者は「円売り/米ドル買い」の為替取引を行う一方で、いずれも株式および通貨のカバードコール戦略を用いることで、株式リスク・為替リスクを低減した運用が期待できるとされている。ただし、このような複雑な手法が個人投資家の理解を得られているかは疑問であるうえ、おおむね設定から日の浅いため“実力未知数”と言っても過言ではない。(守谷清貴)

 (2)へつづく
提供:モーニングスター社
Feature & Column 特集&コラム
  • 特集&コラム読み込み中です
このページのTOPへ
この情報は、ウエルスアドバイザー株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、安全性等について保証するものではありません。
また、このページは、投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としてはいません。
このページで提供している情報、記事、画像、図表などの転用、販売、再配信は固く禁じます。

当サイトに表示されている広告の一部はヤフー株式会社に配信を委託しています。ヤフー株式会社から配信される広告が表示されるページを訪問した際には、ヤフー株式会社も同社のcookies情報を取得いたします。そこで収集されるcookies情報については当社に提供・開示されることはなく、ヤフー株式会社が定めるプライバシーの考え方にしたがって管理されます。くわしくはこちらをご覧ください。また、ヤフー株式会社から配信される行動ターゲティング広告についてはこちらをご覧下さい。