モーニングスター年末特集=2015年の国内株式型を振り返る―9月は過去最高の純資金流入、その後は流出

 2015年の株式投信の動向を振り返ってみると(2015年1−11月)、9月末には単位型を含む株式投信全体の純資産総額が7カ月ぶりに一時80兆円の大台を割り込んだ一方で、国内株式型への純資金流入額(設定から解約・償還を差し引いた増減)は1兆3276億円の流入超過と、公表されている10年3月以降で過去最高を記録した。7月の純資金流入額が1兆1578億円と、2013年5月の9345億円を上回って以降は3カ月連続で1兆円の大台に乗せるなど、国内株式型への純資金流入が強まった。

 一方、国内株式市場の動向をみると、7月から9月の間はけっして堅調だったわけではない。6月には2万1000円の大台に接近した日経平均株価だが、8月、9月と大きく日経平均株価は下落。中国の経済指標悪化などを背景に、短期間での大幅な調整を強いられ、9月には終値ベースで8か月ぶりに1万7000円の大台を割り込んだ。株式の大幅調整の半面、株価指数への連動を目指すインデックスファンド(ETF<上場投資信託>含む)を中心に資金が流入しており、9月のTOPIX(東証株価指数)連動型は、4483億円の流入超過と、2年4カ月ぶりの高水準となった。日経平均連動型も同じく高水準の純資金流入が続いており、国内株式の大幅下落で逆張り狙い、もしくはヘッジ目的での資金流入が入ったためと思われる。

 このため、10月、11月と日経平均株価が戻りを試す展開となった際には国内株式型の純資金流出の規模も大きくなっており、11月は国内株式型が1323億円の流出超過と、約1年ぶりに純資金流出に転じた。また、国内株式型の動向にはETFを含めたインデックスファンドの動向の影響が増しており、レバレッジ型の投資信託やETFの人気が増していることも考慮する必要があるだろう。

 一方、国内株式市場では日経平均株価が2014年12月末から2015年11月末の間で13.2%上昇したが、国内株式型の個別の投資信託の動向をみると、中・小型の銘柄を主な投資対象とし、成長期待の高い銘柄を組み入れる投資信託のトータルリターンが相対的に好調だった。また、2015年は小売株と医薬品株の値動きが良好だったが、「(セクター10) B食品、医薬品」<1989112202>などの業種に特化したセクターファンドや、健康関連産業の株式を投資対象とする「ニッセイ健康応援ファンド」<2008042502>の運用成績が良好だった。ニッセイ 健康応援ファンドは、朝日インテック<7747.T>などの医療・治療機器関連の銘柄を組み入れると同時に、江崎グリコ<2206.T>などの健康食品関連も組み入れており(2015年11月末時点)、良好なパフォーマンスに結びつけたようだ。

 2015年1月から11月までの国内株式型の純資金流入の動向では、「日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)」<2014040403>が3379億円の純資金流入額で1位となった。日本株を投資対象とするものの、「高金利通貨戦略」で相対的に金利水準の高い通貨の為替取引を実質的に行うほか、「株式カバードコール戦略」や「通貨カバードコール戦略」を行い、オプションプレミアムの確保を目指すなど複雑な仕組みの投資信託となる。また、2015年2月に設定された「JPX日経400アクティブ・プレミアム(毎月)」<2015021205>が3136億円を集めて2位に入ったが、2015年に新たに設定された投資信託が上位10本中5本入るなど、大きな人気を集めた。一方で、「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」<2008032813>などの運用期間が比較的長い投資信託も上位となっており、様々な国内株式型への資金流入の動きが出ているようだ。
提供:モーニングスター社
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