モーニングスター年末特集=2016年の国内株式ファンドの動向を占う(1)

 2012年の「アベノミクス」政策の発表以降、日本株は堅調な動きを継続している。また、2015年は日本郵政<6178.T>の新規上場もあり、個人投資家においても、国内株式で運用されるファンドへの関心が高まっている。

 アクティブファンドの場合、国内株式ファンドのファンドマネジャーの目標は「リスクを抑えつつ、運用実績が(TOPIXなど)ベンチマークをいかに上回るか」となる。しかし、投資家目線で見れば、トータルリターンがベンチマークを上回ったとしても、絶対的なリターンが低迷していれば歓迎できない事態となる。その意味では、日本株全体が2016年に上昇基調を継続できるのかどうかや、どのような銘柄の株価が上昇するのかは、個人投資家が投資先ファンドを選別する上でも重要なポイントとなるだろう。

 そこで、ここでは2015年の日本株の値動きを検証したうえで、2016年の日本株の動向を見通してみたい。

<日経平均は2年連続で2ケタの上昇率>

 まず、2012年以降の日本・米国・中国主要株価指数の騰落率を比較すると、以下のようになる。

<日本・米国・中国の株価指数の推移>
騰落率    2015年  2014年  2013年  2012年
TOPIX  18.01% 51.46%  8.08%  7.72%
日経平均株価 22.94% 56.72%  7.12%  7.55%
NYダウ    7.26% 26.50%  7.52% −1.52%
上海総合指数  3.17% −6.75% 52.87% 12.16%

出所:モーニングスター作成、2015年は日本市場と中国市場が12月25日、米国市場は12月24日現在

 年間の騰落率を見ると、米国株や中国株と比較して日本株が安定した上昇を続けてきたように見える。ただし、実際の変動を比べてみると、各国指数は密接に関係しており、2015年についても大きく影響しあっている。

 2015年の日経平均を検証すると、年始は1万7000円台前半で取引を開始したものの、2014年10月以降の日本株急伸の反動もあり、年始から調整局面入り。1月16日には1万6592円の安値を付けた。しかし、その後は国内企業の決算に対する期待もあり、長期で上昇トレンドを継続。6月24日に2万952円の年初来高値を付けている。

 一方、8月以降はいわゆる「中国株ショック」にツレ安し、輸出関連株を中心に幅広い銘柄の株価が急落。日経平均は8月11日の高値2万946円から9月29日の安値1万万円台を回復したものの、日銀の金融緩和や米国利上げの思惑から、様子見ムードを継続したまま年末を迎えている。

 また、過去1年の上昇銘柄を見ると、コーセー<4922.T>、一休<2450.T>やマツモトキヨシホールディングス<3088.T>、クオール<3034.T>など、いわゆるインバウンド(訪日外国人観光客)関連が目立つ。ほかにも、フィンテック(金融のIT化)関連のさくらインターネット<3778.T>、東京五輪のインフラ需要などでゼネコンの浅沼組<1852.T>、食品で雪印メグミルク<2270.T>や森永製菓<2201.T>などが大幅高となっており、株式テーマを内包した内需関連株が総決起した1年だったと言えるだろう。

 一方、輸出関連株では為替の円安進行もあり、自動車株の代表格であるトヨタ自動車<7203.T>が年前半は堅調に推移したものの、8月の中国株ショック以降は急落。年間の騰落率ではわずかながら下落となっている。

 (2)につづく
提供:モーニングスター社
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