モーニングスター年末特集=2016年の国内株式ファンドの動向を占う(2)

<日経平均の高値予想は2万2000円前後>

 では、2016年の日本株はどのような動きを見せるのか。まず、日経平均の動向であるが、株式新聞が市場関係者にアンケートした集計結果を見ると、安値は1万7000−9000円、高値は2万1000−3000円とする予想が多数を占めている。

 また、高値・安値の時期を見ると、9月または10月に安値を付けると予想した関係者が多く、高値の月は6−7月と12月の予想に分かれている。年央に高値を付ける予想の理由としては、7月に実施が予想されるされる参議院選挙があり、選挙に向け「アベノミクス」政策による景気対策に関連した銘柄が浮上するとの見方が強い。また、参院選後は出尽くし感から株価が調整するものの、年末に向け再度上昇すると見込まれている。

 また、この他にも、日銀の追加金融緩和や米国の金利追加引き上げの可否、8月に開催されるブラジル・リオデジャネイロ五輪、11月に投開票が行われる米大統領選挙などが国内株式に影響しそうだ。さらに、年後半にかけては、2017年4月に予定される消費税引き上げが国内消費動向や内需関連株の株価に影響を及ぼすことも考えられる。

 上昇が期待できる銘柄としては、日本電産<6594.T>や村田製作所<6981.T>などスマートフォン関連銘柄のほか、JVCケンウッド<6632.T>など自動運転関連、小野薬品工業<4528.T>など医薬品関連が挙げられ、株価テーマとしてはロボット関連や人工知能、フィンテック(金融のIT化)関連などが注目されている。

 また、為替市場の見通しについては、1ドル=120円を割り込む円高予想から、1ドル=130円程度の円安に転じるとの見方もあり、大きく分かれている。輸出株の業績は為替動向次第で大きく変動するだけに、この予想のばらけ方は気になるところだろう。

<国内株式ファンドは運用方針だけでなく組入銘柄のチェックも肝心>

 国内株式市場全体は安定した値動きが予想されており、注目銘柄などを見ても、2015年の相場環境を踏襲したものとなりそうだ。ただし、2014年のような「総決起型」の市場動向は考えにくいだけに、2016年も銘柄の取捨選択が資産運用のポイントとなると予想される。

 国内株式に投資するアクティブファンドを選択する場合には、各ファンドの運用方針や運用成績をチェックするだけでなく、組入銘柄や、相場状況に応じた銘柄入れ替えなどにもしっかり目を向けておくべきだろう。
提供:モーニングスター社
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