モーニングスター年末特集=資金流入が止まらない国内REIT―日銀の爆買いに要注意(1)
<緩やかに推移する国内REIT価格>
2015年の国内REIT(不動産投資信託)市場は低調なパフォーマンスとなった。それを裏付けるように2015年の国内REITファンドの新規設定本数は11月末時点で3本のみとなっている。2013年の20本、2014年の10から比べると、大幅に減少する見込みだ。
国内の金融市場を振り返ると、2015年は株価とREIT価格のパフォーマンスの差が広がった1年であった。株価は、年初から中盤にかけて堅調に推移した後に世界同時株安などの影響から大きな調整局面となり、ブレ幅の大きい動きを示した。一方で、REIT価格は金利に敏感ということもあり、2015年初旬から中旬にかけての国内長期金利上昇が重しとなった格好だ。7−8月の調整局面での急激な落ち込みを除けば、1年を通して緩やな下落トレンドとなっている。2012年以降おおむね同じような動きをしてきた株価とREIT価格は2015年序盤からそのパフォーマンスでのカイ離が顕著となった。
<安定したREITへの資金流入は不自然? >
ファンドの資金流出入においても国内REIT型と国内株式型(*)は、値動きと同様に対照的なものとなった。国内株式型は、7月に始まった世界株安の影響を大きく受けた。国内株式への資金流入は10月に入り急激に縮小し、11月には半年ぶりに資金流出を記録した。一方、国内REIT型では、東証REIT指数(配当込み)が7月末から8月末にかけて8.8%の大幅安を経験するなど大きな値動きをしたにもかかわらず、安定して資金が流入している。国内株式への資金流出入には大きなうねりが見られるが、国内REIT型への資金流入は、その規模は国内株式型に比べて小さいものの、安定したトレンドを示している。
しかし、2014年7月以降、一度も流出することなく国内REIT型へ恒常的に資金が入り続けている。市場でこのような一定のトレンドのような動きを見つけた時は、まず疑ってみると良い。それは、自由な市場の動きとは異なり“不自然さ”が感じられるからだ。では、一体何が起きているのだろうか。
*「国内株式型」と「国内REIT型」はモーニングスターカテゴリーでそれぞれ「国内株式型」、「国内REIT型」に属するファンドを対象
(2)につづく
提供:モーニングスター社
2015年の国内REIT(不動産投資信託)市場は低調なパフォーマンスとなった。それを裏付けるように2015年の国内REITファンドの新規設定本数は11月末時点で3本のみとなっている。2013年の20本、2014年の10から比べると、大幅に減少する見込みだ。
国内の金融市場を振り返ると、2015年は株価とREIT価格のパフォーマンスの差が広がった1年であった。株価は、年初から中盤にかけて堅調に推移した後に世界同時株安などの影響から大きな調整局面となり、ブレ幅の大きい動きを示した。一方で、REIT価格は金利に敏感ということもあり、2015年初旬から中旬にかけての国内長期金利上昇が重しとなった格好だ。7−8月の調整局面での急激な落ち込みを除けば、1年を通して緩やな下落トレンドとなっている。2012年以降おおむね同じような動きをしてきた株価とREIT価格は2015年序盤からそのパフォーマンスでのカイ離が顕著となった。
<安定したREITへの資金流入は不自然? >
ファンドの資金流出入においても国内REIT型と国内株式型(*)は、値動きと同様に対照的なものとなった。国内株式型は、7月に始まった世界株安の影響を大きく受けた。国内株式への資金流入は10月に入り急激に縮小し、11月には半年ぶりに資金流出を記録した。一方、国内REIT型では、東証REIT指数(配当込み)が7月末から8月末にかけて8.8%の大幅安を経験するなど大きな値動きをしたにもかかわらず、安定して資金が流入している。国内株式への資金流出入には大きなうねりが見られるが、国内REIT型への資金流入は、その規模は国内株式型に比べて小さいものの、安定したトレンドを示している。
しかし、2014年7月以降、一度も流出することなく国内REIT型へ恒常的に資金が入り続けている。市場でこのような一定のトレンドのような動きを見つけた時は、まず疑ってみると良い。それは、自由な市場の動きとは異なり“不自然さ”が感じられるからだ。では、一体何が起きているのだろうか。
*「国内株式型」と「国内REIT型」はモーニングスターカテゴリーでそれぞれ「国内株式型」、「国内REIT型」に属するファンドを対象
(2)につづく
提供:モーニングスター社