ネット専用アクティブファンド「iTrust」、ピクテ投信の萩野琢英社長に設定意図を聞く(上)

 ピクテ投信投資顧問が2月19日に設定する「iTrust」は、ネット専用で投資コストを抑えたアクティブファンドのシリーズ。プライベートバンクとして富裕層のさまざまな投資ニーズに応えてきたピクテだからこそそろえられるファンドの優れた実績も注目される。ピクテ投信投資顧問代表取締役社長の萩野琢英氏はiTrustファンドシリーズを提供するに至ったのは、「『自分たちが買いたいネット専用ファンド』を突き詰めて考えた結果」と語っている。

<ネット専用でコストを抑えたアクティブファンドのシリーズ>

 投資信託の運用コストが強く意識され、インデックスファンドではネット専用ファンドを中心に、低コストのファンドシリーズが相次いで設定されるようになった。ピクテの萩野氏は、「ネットで、投資コストを意識して投信を選ぶ時代になっています。そのような時代にあって、私自身がネットで投信を購入することを考えた時に、どんなファンドなら満足できるのかを突き詰めて考えました。たとえば、ファンドの運用コスト以上にインデックスに対して超過収益が見込まれるアクティブファンドがあれば、高い満足感が得られます。そして、ピクテには運用コストが気にならないほど優れた運用実績を残しているアクティブファンドが多いのです。これら優れた実績のあるファンドを、インターネット専用の低コストのファンドとして提供したい」ということに行き着いたという。

 たとえば、「ピクテ・メジャー・プレーヤーズ・ファンド」のマザーファンドにも採用されている「iTrust世界株式」のマザーファンドは、2007年5月31日の設定以来、着実に世界株式インデックスを上回ってきた。設定来の超過収益率は2015年12月末現在年率1.82%であり、信託報酬が0.89%(税込0.96%)だとすると、コスト控除後の超過収益率は0.86%になる。このようにコスト控除後のリターンがインデックスに対して超過収益を期待できる。このようなアクティブファンドに投資するメリットは大きい。

 従来のアクティブファンドは、世界株式に投資する場合には、販売時の手数料が税抜3.0%程度、信託報酬などの運用コストが年率1.5−2.0%程度徴収されることが一般的だった。販売手数料については、運用哲学や運用体制などアクティブ運用に特徴的な情報提供が必要になるためインデックスファンドより割高になるとされてきた。また、運用コストは、グローバルベースで個別企業を調査する体制構築など、インデックスファンドに+αで必要になるコストの見合いとして高い報酬が受け入れられてきた。「しかし、世界的な超低金利、経済成長率の低下などによって、世界株式の期待リターンが低下する中、高い販売コストや運用コストは正当化できるのか? 資産運用業界全体で改めて運用に関するコストについて考える必要がある」と考えたという。

<エキゾチック・ベータでも業界の常識を打ち破る運用コスト設定>

 「iTrust」は、インターネットのみで販売することによって、ファンドを販売する際に必要なコストを極力抑え、かつ、運用コスト以上の超過パフォーマンスを実現しているアクティブファンドのみをラインアップするという発想で生まれたファンドシリーズだ。当初設定は、「iTrust世界株式」のほか、「iTrustバイオ」「iTrustロボ」の3ファンドで、いずれもグローバル株式に投資するファンドになった。現在取扱いを表明する販売会社では、販売手数料を取らないノーロードファンドとして提供される。

 「iTrust世界株式」の運用コストは年0.89%に抑えた。世界株式に投資するアクティブファンドの平均運用コストが1.31%と比較すると、運用コストを大幅に抑えていることがわかる。また、「iTrustバイオ」と「iTrustロボ」の運用コストは年1.33%で、バイオ関連のグローバル株式のアクティブ運用ファンドの平均コスト1.79%、ロボット関連の平均コスト1.55%から、相当抑えた水準で設定する。

 「iTrustバイオ」のマザーファンドは、2000年4月以来の運用実績で2015年末まで、世界株式指数を年率7.5%アウトパフォームしている。「iTrustロボ」は2015年に設定されたばかりだが、2005年12月から2015年末までのバックテストで世界株式指数を年率2.6%アウトパフォームするシミュレーション結果がある。いずれも、年1.33%(税込み1.4364%)の信託報酬を控除してもプラスの超過収益が得られる見込みだ。

 (下)につづく
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