ネット専用アクティブファンド「iTrust」、ピクテ投信の萩野琢英社長に設定意図を聞く(下)

 ピクテ投信投資顧問が2月19日に設定する「iTrust」は、ネット専用で投資コストを抑えたアクティブファンドのシリーズ。ピクテ投信投資顧問代表取締役社長の萩野琢英氏にiTrustファンドシリーズ設定の狙いを聞いた。

<エキゾチック・ベータでも業界の常識を打ち破る運用コスト設定>

 萩野氏は、「『iTrustバイオ』も『iTrustロボ』もエキゾチック・ベータといわれるカテゴリーにあって、成長産業に関連する選ばれた銘柄に投資し、世界株式インデックスを上回る収益を目指します。ピクテには、エキゾチック・ベータの考え方に基づいて『バイオ』『ウォーター』『セキュリティ』など選別投資ファンドがあります。また、それらに総合的に投資する『グローバル・メガトレンド』もあります。

 エキゾチック・ベータに関しては欧州でも人気の高いカテゴリーで、個人向けファンドでは運用会社の得られる運用コストが年1.2%、機関投資家向けでも年0.80%で販売されているところ、今回は運用会社が得る報酬を年0.65%に抑え、販売会社の手数料込みで年1.33%を実現しました」と語り、本国の運用チームとギリギリの折衝をして「iTrust」の運用コストを実現したという。

<ネット投資家に相応しい情報提供をめざす「iInfo」戦略>

 一方、基本的にWeb専用販売会社への提供となるため、自社のWebを通じた情報提供を充実する。「iTrust」ファンドシリーズ用の専用サイトを立ち上げ、ファンドの運用状況についての情報提供に注力するほか、「ファンド受益者限定で『iInfo』というサービスをスタートする。メーカーとして直接、ファンドに関する質問を受け付け、それに応えていきたい」としている。

 萩野氏は、最近精力的に個人投資家とじかに接するなかで感じたこととして、「インターネットの普及によって、一般の個人投資家の方々の金融知識は格段と充実しました。ネット検索によって、従来は専門家の間でとどまっていた知識が公開され、あいまいな説明やごまかしは簡単に見破られます。今回の『iInfo』では、機関投資家向けに提供してきた専門的なレポートの一部を公開し、さらに、ピクテの今後5年間の投資指針についても紹介するなど、一歩踏み込んだ情報提供を考えています。ネットで投信を購入されるような方々と、従来にないコミュニケーションをしていきたいと願っています」と語っている。

 「iTrust」は、今後、ネット販売専用のアクティブファンドのシリーズとしてラインナップを拡大する方針。「日本株」や「円ヘッジ外債」などを主要な投資対象としたアクティブファンドの追加を検討しているという。

 萩野氏は、「投資信託の販売については、ネットを通じた販売と対面販売の2極化が進んでいくと思います。対面販売は、投資が初めてのお客さまや大口の投資資金を慎重に運用したいお客さまなど、販売員の方との対話から投資先を最終判断したいと感じられるお客さま向けに充実した情報提供が求められるでしょう。一方、ネットでは、週末などに自分自身でじっくり情報を吟味し、すべてを自分で決めたいと考えるお客さま向けに、幅広い情報提供が求められるようになってくると思います。『iTrust』は、ネット向けの情報提供について、現段階でのソリューションを提供していきます」と語っている。ファンドの運用成績のみならず、情報提供の面でも今後の取り組みに注目していきたい。(おわり)
提供:モーニングスター社
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