三菱東京UFJ銀行、フィンテックで先駆し最適な顧客利便性の実現へ(上)

 三菱東京UFJ銀行は「オープンイノベーション」を掲げて、先端の金融技術について銀行以外の知見を積極的に取り入れてサービスの拡充を図ろうとしている。フィンテックといわれる金融技術が銀行のサービスをどのように変えるのか? 三菱東京UFJ銀行リテール業務部証券業務推進室次長の藤谷直昭氏、同室上席調査役の野田貴裕氏、リテール事業部基盤商品グループ次長の戸枝裕隆氏、デジタルイノベーション推進部第一グループ調査役の小出俊介氏に聞いた。

 ――Finatext社と共同で、投信選びのスマホアプリ「FUNDECT(ファンデクト)」の運用を2015年12月に開始しました。そもそも昨年6月に最終選考が行われた「三菱東京UFJ銀行 Fintech Challenge 2015」にFinetext社が応募したことがきっかけとなっています。「Fintech Challenge」を開催した狙い、また、応募作品の中から「FUNDECT」を評価したポイントは?

 小出 Fintech Challenge」は、オープンイノベーションに取り組もうという考えのもと、銀行以外の分野で活躍されている方々への協働を呼び掛けるイベントという位置付です。従来の銀行は、堅牢なシステムを構築し、安心、安全に取引ができる場を提供してきましたが、急速に発展しているテクノロジーを活用すれば、安全面での配慮を行ったうえで、銀行の発想では思いつかないようなサービスや、もっとスピーディなサービスができるのではないかと考えています。

 昨年は第1回の応募受け付けであったにもかかわらず、多くの応募がありました。Finetext社の「FUNDECT」はファイナリストに残った11組のうちの1つです。コンテストの「大賞(2組)」や「優秀賞(2組)」には選ばれませんでしたが、投信販売に貢献するビジネスモデルがしっかりしていたこと、また、「あすかぶ! 」など株式取引アプリでの実績も評価し、共同で運営するアプリへの作り込みを進めました。

 オープンイノベーションという考え方は、日本の銀行では米国などと比較すると出遅れているように感じるのですが、実施してみると手応えは大きく、当行が先駆けてフィンテックを盛り上げていきたいと考えています。」

 ――「FUNDECT」は15の質問に答えることで、その方に相応しい投信がリスト形式で提供される「適正チェック」の機能が搭載されています。人に代わってシステムが投資アドバイスを提供する「ロボ・アドバイザー」が注目されてきていますが、「FUNDECT」への反響などを踏まえ、「ロボ・アドバイザー」への期待は?

 藤谷 投信の販売に関する手続きが、ロボットによって代替されるものであれば、低減されたコストをお客さまに還元するという販売モデルが成立します。ただ、現実に米国などで行われている「ロボ・アドバイザー」を使ったサービス内容を検証すると、未だ道半ばであるという印象が強くあります。また、現在行われている「ロボ・アドバイザー」を使うことで発生している「フィー(手数料)」が、本当にサービス内容に見合ったものであるのかどうかは、良く検証してみる必要があるとも考えています。

 「ロボ・アドバイザー」は、将来は一般化するかもしれないサービスの一つとしてフォローし、研究は怠りなく続けますが、今すぐに追随してサービスに取り入れる具体的な予定はありません。

 現在、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)は個人向けのサービスについて、グループの金融サービスを総合的にお客さまに提供する体制整備を10年先を見据えて進めています。その取り組みの中でも、ロボットやフィンテックを組み入れて、「お客さまのコスト負担の低減」という部分は重要な要素になっていますので、いずれ「MUFGのロボ・アドバイザー」や「MUFGのフィンテック」がサービスとしてカタチになってくると思います。

 (下)につづく
提供:モーニングスター社
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