三菱東京UFJ銀行、フィンテックで先駆し最適な顧客利便性の実現へ(下)

 (上)からつづく

 三菱東京UFJ銀行リテール業務部証券業務推進室次長の藤谷直昭氏、同室上席調査役の野田貴裕氏、リテール事業部基盤商品グループ次長の戸枝裕隆氏、デジタルイノベーション推進部第一グループ調査役の小出俊介氏に聞いた。

 ――フィンテックなどの進展は、三菱東京UFJ銀行の投信販売のあり方を、どのように変えていくとお考えですか?

 藤谷 大事なことは、お客さまがストレスなくサービスを使っていただくことだと思っています。MUFGはグループとして、店頭、インターネット、コールセンターなどあらゆる窓口を用意し、それらをシームレスでご活用いただくことをめざしています。日常的に店頭をご利用いただいているお客さまが、必要に応じてネットを使われるなどハイブリッドな使い方が広がっています。そのシームレスなお取引の一部を、ロボットやフィンテックがつなぐということもあると思います。

 三菱東京UFJ銀行の窓口では、信託代理店として三菱UFJ信託銀行のサービスをご紹介することも可能です。また、金融商品仲介業として三菱UFJモルガン・スタンレー証券を紹介することもできます。店舗の立地から三菱東京UFJ銀行の本支店窓口のご利用が便利だと思うのですが、その本支店でMUFGのあらゆるサービスにおつなぎすることが可能なのです。

 野田 銀行の窓口でさまざまなサービスをご提供できるということは、お客さまがご存じないことが多いのです。たとえば、銀行の窓口で保険の相談ができることは少しずつ浸透してきていますが、実は、株式取引や、相続や遺言などについてのご相談も、お声掛けいただければ、必要な手続きなどについてご案内することができます。

 私どものアピール不足の面もあるため、お客さまにお伝えしていくことに注力していきたいと考えています。

 戸枝 「FUNDECT」が投資に関する「適正チェック」で使っている15の質問は、「突然カレーが食べたくなったら、どこに行きますか? 」といったような、直接投資とは関係のない質問にお答えいただきながら、リスク許容度や投資経験などを自然と把握できるようになっています。「投資相談」というと、構えてしまうことがあるかと思うのですが、「カレーをどこに食べに行く」などの話題では、日常的な会話のようにスムーズにお答えいただけると思うのです。

 実際に金融庁が行った若年層を対象にした調査では、投資判断の情報として「クチコミ」や「家族に相談」という項目が20代から40代の女性で高くなっています。日常的な身近な人との対話の中から投資についてもヒントを得たいと思っておられるのだと思います。「FUNDECT」を使っていただくと、スマートフォンを少し操作するだけで、日常的な対話の延長線で投資への導線が引かれています。

 実際に、「FUNDECT」をご利用いただいている方は、私どもがこれまで十分にアプローチができていなかった若い女性が多く、そこには手ごたえを感じています。

 当行のネット専用ファンドの残高は、昨年9月末から今年1月末で約10%増えました。ネットで自発的に投信を購入されるお客さまが着実に増えています。投資のご経験がない方々に、投信購入の第一歩からスムーズにご案内できるネットサービスについて様々な可能性を試し、より使いやすく、分かりやすいネット窓口にしたいと思っています。

 藤谷 「FUNDECT」は入口のひとつですが、今後、フィンテックの発展や実用化によって、金融に関するさまざまな相談業務がシステムによって代替されるようになるかもしれません。もちろん、対面でご相談を必要とされる場面はなくならないと思います。このリアルとバーチャルの使い分けや最適な関係性によって、お客さまが、もっとも利用しやすく、利用コストも抑えられるサービスにしていきたいと思っています。

 昨年10月には対面窓口で取り扱っている投信の一部をノーロード(販売手数料無料)にしました。足元の金利環境下では、預金ではお客さまにメリットを感じていただけない時代になっています。ローリスクで分かりやすい商品は、預金の代替としてもお使いいただきたいという発想でノーロードにしました。

 このような取り組みも銀行サービスへの満足度に応じた手数料を設定していくという考え方の一環です。ノーロード投信の取り扱いで、これまでは見逃すことのあった投資の機会に、お客さまが気付かれるきっかけにもなると感じています。いつでも身近にある銀行窓口が、金融に関するお客さまのあらゆるニーズにお応えできる。そのような環境を用意したいと思っています。
提供:モーニングスター社
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