<J−REIT>日銀のマイナス金利政策の効果がプラスに働き、下値の堅いジリ高相場に=新光投信(上)
新光投信は、東証REIT指数との連動をめざすインデックスファンド「新光J−REITオープン」<2004042302>(★★、評価基準日=2月29日)が純資産総額で約2300億円、また、アクティブファンドである「りそなJリート・アクティブ・オープン」(愛称:日本のツボ)<2010062402>(★★★、評価基準日=2月29日)は純資産総額が約2000億円と大規模なJ−REITファンドを運用している。
新光投信の運用調査本部運用二部 外国株式・REITチーム ファンドマネージャーの片桐健太氏に、J−REIT市場の現状分析と見通しなどを聞いた。
――J−REIT市場の現状をどのように見ていますか?
中国経済悪化への懸念からリスク資産が売られた15年8−9月と16年1−2月を比較してみると、TOPIX(東証株価指数)と東証REIT指数の動きに大きな違いがあります。15年8月は、TOPIXの動きとほぼ連動して東証REIT指数も下げたのですが、今年1月はTOPIXの下落率ほどには東証REIT指数が下げていません。これは、内需を中心に取り込むオフィスや住宅などの不動産賃貸事業の安定感が見直され、J−REITには「安心して投資できる資産クラス」という評価が高まったためだと捉えています。
15年12月の日銀による追加緩和の補完策発表の際には、日銀によるJ−REIT買い入れ限度額について発行済み投資口の5%以内から10%以内に引き上げられ、年間900億円のペースで進む買い入れが、長期間にわたって可能になりました。
そして、日銀が導入したマイナス金利政策は、J−REITにとって大変ポジティブな材料として評価することができ、J−REIT市場は今後も堅調に推移すると考えています。
イールドスプレッドの拡大、ファイナンスコストの削減余地の拡大がJ−REIT市場に与える好影響もさることながら、マイナス金利政策の導入によって、企業への貸し出し増加を支援する意図が確認された意義は大きいとみています。日銀が半期に1回公表している「金融システムレポート」で「不動産業実物投資の対GDP比率」が過熱と判断されていることなどから、一部では金融機関が不動産への融資姿勢を慎重にするのではと懸念されていました。しかし、日銀が「マイナス金利」という従来になかった踏み込んだ政策を導入したことで、不動産への融資の過熱懸念が後退した好影響は大きいと思います。
さらに、日銀は一段の金融緩和についても躊躇(ちゅうちょ)しないことを明確にしており、さらなるマイナス金利の導入や買い入れ枠増大への期待が高まる局面も想定され、市場の下支え要因として働くと思います。
現在、東証REIT指数は1850−1900ポイントでもみ合いとなっています。PO(公募・売り出し)、IPO(新規公開)が続き、需給関係で供給圧力が強まっていることに加え、株式市場等の乱高下によって値保ちの良いJ−REITに利益確定売りや換金売りなどが出やすい環境にあるためだと考えられます。
2月には海外投資家が大幅に買い越したほか、マイナス金利政策下で運用難に陥った国内資金が配当利回りの高さなどに注目してJ−REITへの投資に向かってくることが期待され、需給環境は徐々に好転していくとみています。
(下)へつづく
提供:モーニングスター社
新光投信の運用調査本部運用二部 外国株式・REITチーム ファンドマネージャーの片桐健太氏に、J−REIT市場の現状分析と見通しなどを聞いた。
――J−REIT市場の現状をどのように見ていますか?
中国経済悪化への懸念からリスク資産が売られた15年8−9月と16年1−2月を比較してみると、TOPIX(東証株価指数)と東証REIT指数の動きに大きな違いがあります。15年8月は、TOPIXの動きとほぼ連動して東証REIT指数も下げたのですが、今年1月はTOPIXの下落率ほどには東証REIT指数が下げていません。これは、内需を中心に取り込むオフィスや住宅などの不動産賃貸事業の安定感が見直され、J−REITには「安心して投資できる資産クラス」という評価が高まったためだと捉えています。
15年12月の日銀による追加緩和の補完策発表の際には、日銀によるJ−REIT買い入れ限度額について発行済み投資口の5%以内から10%以内に引き上げられ、年間900億円のペースで進む買い入れが、長期間にわたって可能になりました。
そして、日銀が導入したマイナス金利政策は、J−REITにとって大変ポジティブな材料として評価することができ、J−REIT市場は今後も堅調に推移すると考えています。
イールドスプレッドの拡大、ファイナンスコストの削減余地の拡大がJ−REIT市場に与える好影響もさることながら、マイナス金利政策の導入によって、企業への貸し出し増加を支援する意図が確認された意義は大きいとみています。日銀が半期に1回公表している「金融システムレポート」で「不動産業実物投資の対GDP比率」が過熱と判断されていることなどから、一部では金融機関が不動産への融資姿勢を慎重にするのではと懸念されていました。しかし、日銀が「マイナス金利」という従来になかった踏み込んだ政策を導入したことで、不動産への融資の過熱懸念が後退した好影響は大きいと思います。
さらに、日銀は一段の金融緩和についても躊躇(ちゅうちょ)しないことを明確にしており、さらなるマイナス金利の導入や買い入れ枠増大への期待が高まる局面も想定され、市場の下支え要因として働くと思います。
現在、東証REIT指数は1850−1900ポイントでもみ合いとなっています。PO(公募・売り出し)、IPO(新規公開)が続き、需給関係で供給圧力が強まっていることに加え、株式市場等の乱高下によって値保ちの良いJ−REITに利益確定売りや換金売りなどが出やすい環境にあるためだと考えられます。
2月には海外投資家が大幅に買い越したほか、マイナス金利政策下で運用難に陥った国内資金が配当利回りの高さなどに注目してJ−REITへの投資に向かってくることが期待され、需給環境は徐々に好転していくとみています。
(下)へつづく
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