<★★★★★>「コーポレート・ボンド・インカム」、米国社債市場の落ち着きで安定的な収益獲得へ(上)
三井住友アセットマネジメントが運用する「コーポレート・ボンド・インカム(為替ノーヘッジ型)」(愛称:泰平航路)<2009052908>(★★★★★、評価基準日=2月29日)は、2016年2月末基準でモーニングスターレーティング最高格付けの5つ★になった。5年(年率)トータルリターンが10.71%とカテゴリー平均(9.20%)を上回る成績を残し、1年、3年(年率)でも平均を上回る。また、リスク(標準偏差)もカテゴリー平均より低く、運用の効率性を示すシャープレシオが高いことが特徴だ。5年(年率)のシャープレシオは1.35とカテゴリーでトップになっている。同ファンドを運用する三井住友アセットマネジメント 債券運用グループ副ヘッドの原田和幸氏に、運用の現状について聞いた。
――2016年になってからの米国の社債市場は?
2月中旬くらいまでは、米国金利が低下しやすい状況が続きました。商品市況の低下や、中国人民元の切り下げ懸念などが高まってリスクオフとなるなか、弱い景気指標の発表が米国でも続いて、債券価格は上昇しました。
米国10年国債利回りが、2015年12月末の2.27%から、16年2月中旬には一時1.6%を割り込むまで金利が下がりました。この間、当ファンドが投資対象とする投資適格の社債市場は、国債とのスプレッドが拡大したことにより、国債の利回り低下ほどには価格は上昇しませんでした。反対に、2月中旬以降に10年国債が1.5%台から1.9%台へと緩やかに金利が戻る局面では、スプレッドが急速にタイト化して、社債価格は上昇しました。
社債市場は、2月上旬に世界経済を巡る先行き懸念が高まった影響で発行市場がストップしてしまったものの、2月16日にアップルが120億ドル(約1兆3560億円)規模の大型起債を成功裏に実施したことなどで、投資家の間には安心感が広がり、急速に回復しました。
当ファンドでは、1月前半にはおおむねフルインベストとなっていたことから1月末−2月後半の金利低下場面で、ほとんど追加の債券購入をせずに、キャッシュポジションを高めてきました。2月後半から全般に市場環境が落ち着いてきたため、金利水準が上昇したところで、価格の安くなった社債を選別して投資しました。
1−3月のファンドの基準価額はマイナスリターンになっていますが、これは円高の影響を受けたものです。ドルベース(ヘッジ型)ではプラスのリターンを確保しています。
――米国の社債市場は日本がマイナス金利にある中で、魅力的な市場といえるでしょうか?
日本が10年国債利回りさえマイナスに沈んでしまうような状況になったことと比較すると、米国10年国債は2%に近い利回りがあり、さらに社債には米国債にプラス1.5%程度のスプレッドが加わるので、利回りが欲しいと考える方には魅力的な投資資産になり得ると思います。
特に、「コーポレート・ボンド・インカム」が投資する社債は、BBB格相当以上の投資適格債に投資し、かつ、日本の投資家が見ても名前を知っているようなグローバルな大企業が発行する社債を中心に運用していますので、信用リスクは限定的です。しかも、投資する業種は金融など業績の変動が大きな業種を避けて、社会インフラ関連など安定業種を中心に投資しています。日米で開いた金利差を収益機会にしたいとお考えの場合には、投資しやすいファンドだと考えます。
ただ、昨今の債券市場は、上げる時も下げる時も一方通行に動きやすい傾向があるため、慎重な投資態度が必要です。これは、リーマン・ショック後に金融機関に課されたさまざまな規制の影響によって、マーケット全般に厚みがなくなってきているためです。現在の市場では、いったん売りや買いのトレンドが始まると、急速に価格が変動しやすくなっています。中途半端に上げ下げの途中で売り買いを入れると、思わぬ損失を被りますので、売り買いの判断をはっきりし、市場の転換点を見極めて動く必要があります。
(下)へつづく
提供:モーニングスター社
――2016年になってからの米国の社債市場は?
2月中旬くらいまでは、米国金利が低下しやすい状況が続きました。商品市況の低下や、中国人民元の切り下げ懸念などが高まってリスクオフとなるなか、弱い景気指標の発表が米国でも続いて、債券価格は上昇しました。
米国10年国債利回りが、2015年12月末の2.27%から、16年2月中旬には一時1.6%を割り込むまで金利が下がりました。この間、当ファンドが投資対象とする投資適格の社債市場は、国債とのスプレッドが拡大したことにより、国債の利回り低下ほどには価格は上昇しませんでした。反対に、2月中旬以降に10年国債が1.5%台から1.9%台へと緩やかに金利が戻る局面では、スプレッドが急速にタイト化して、社債価格は上昇しました。
社債市場は、2月上旬に世界経済を巡る先行き懸念が高まった影響で発行市場がストップしてしまったものの、2月16日にアップルが120億ドル(約1兆3560億円)規模の大型起債を成功裏に実施したことなどで、投資家の間には安心感が広がり、急速に回復しました。
当ファンドでは、1月前半にはおおむねフルインベストとなっていたことから1月末−2月後半の金利低下場面で、ほとんど追加の債券購入をせずに、キャッシュポジションを高めてきました。2月後半から全般に市場環境が落ち着いてきたため、金利水準が上昇したところで、価格の安くなった社債を選別して投資しました。
1−3月のファンドの基準価額はマイナスリターンになっていますが、これは円高の影響を受けたものです。ドルベース(ヘッジ型)ではプラスのリターンを確保しています。
――米国の社債市場は日本がマイナス金利にある中で、魅力的な市場といえるでしょうか?
日本が10年国債利回りさえマイナスに沈んでしまうような状況になったことと比較すると、米国10年国債は2%に近い利回りがあり、さらに社債には米国債にプラス1.5%程度のスプレッドが加わるので、利回りが欲しいと考える方には魅力的な投資資産になり得ると思います。
特に、「コーポレート・ボンド・インカム」が投資する社債は、BBB格相当以上の投資適格債に投資し、かつ、日本の投資家が見ても名前を知っているようなグローバルな大企業が発行する社債を中心に運用していますので、信用リスクは限定的です。しかも、投資する業種は金融など業績の変動が大きな業種を避けて、社会インフラ関連など安定業種を中心に投資しています。日米で開いた金利差を収益機会にしたいとお考えの場合には、投資しやすいファンドだと考えます。
ただ、昨今の債券市場は、上げる時も下げる時も一方通行に動きやすい傾向があるため、慎重な投資態度が必要です。これは、リーマン・ショック後に金融機関に課されたさまざまな規制の影響によって、マーケット全般に厚みがなくなってきているためです。現在の市場では、いったん売りや買いのトレンドが始まると、急速に価格が変動しやすくなっています。中途半端に上げ下げの途中で売り買いを入れると、思わぬ損失を被りますので、売り買いの判断をはっきりし、市場の転換点を見極めて動く必要があります。
(下)へつづく
提供:モーニングスター社