<★★★★★>アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信、長期に成長できる企業に選別投資(下)
アライアンス・バーンスタインが運用する「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし)」<2006052502>(★★★★★、評価基準日=3月31日)の商品性と運用方針についてアライアンス・バーンスタインの株式・オルタナティブ部 シニア・ポートフォリオ・マネジャーの大矢卓司氏に聞いた。
(上)からつづく
――運用チームの構成は?
そして、世界の拠点に総勢で約70名のアナリストが在籍していますが、運用チーム専任のアナリストチームと世界の各拠点に在籍するアナリストが協業することで、より精緻(せいち)な分析結果を導き出します。たとえば、世界的な消費財を扱っている米国のメーカーを調べる場合、当運用をサポートするアナリストは米国において企業取材などを行いますが、アジアやヨーロッパでの販売状況は、現地の消費財アナリストの方が詳しい分析ができます。これらの情報を突き合わせ、アナリスト同士が協力し合うことによって、より確信度の高いリサーチ結果を生み出すことができるのです。
――ファンドは、市場の下落時に連動しにくい特性がありますが、リスク管理の面で特別な取り組みをしているのですか?
リスク管理については、ボトムアップ運用のファンドだけに、個別銘柄の事業リスクや成長リスクに関する調査が有効に機能していることが第1に重要です。そのうえで、ポートフォリオ全体について、ベンチマーク(S&P500)とのトラッキングエラーや各種リスクモデルを用いた分析を行っています。
それに加えて、このファンドでは1銘柄のリスクがトラッキングエラー全体の10%以内に抑えられているかを常にチェックしています。銘柄分析の結果、今後の成長への確信度が非常に高い企業であっても、リスクのエクスポージャーは全体の10%以内に収めます。これによって、ひとつの投資アイデアにファンド全体のパフォーマンスを委ねるようなことがないようにしています。
――2016年は年初から原油価格の急落や急激なドル高など、激しい値動きを経験しました。今年の見通しは?
米国の利上げは、景気拡大を確認しつつ慎重に行われていく方向なので、米国の緩やかな景気拡大を裏付ける材料として株式市場にとってポジティブな変化と捉えられます。ただ、世界的な金融緩和が長らく続いたあとで、米国が先行して利上げに踏み切ったことで、世界各地のカネ余りで生じたミニバブルが、小さくはじけるような事態が起こっています。これが、米国市場に影響を及ぼすことは避けられません。したがって、ボラティリティーの大きな市場環境が当面続くと考えられます。
一方、企業収益は売上高の伸びが鈍化してきています。企業の利益率は、エネルギー費用の低下や金利低下によって、ずいぶん底上げされてきましたが、今後は賃金コストの上昇や金利引き上げの影響などが現れ、収益サイクル的にはピークを超え、利益率の拡大が難しい局面になるでしょう。こうした局面では企業の実力の差が業績に表れやすくなります。
実際に、3月末のマザーファンド組み入れ銘柄の1株利益(EPS)成長率の長期予想は平均15.5%と、S&P500採用銘柄の10.2%を上回ります。また、キャッシュフロー投下資本利益率(CFROI)は、マザーファンドの平均が20.9%に対し、S&P500は15.1%です。しっかりと高い利益成長が見込まれ、かつ、キャッシュフローの再投資利回りも高い銘柄でポートフォリオを組んでいます。
企業全体の利益率の伸び悩みが予想され、S&P500などの株価指数に利益成長率の大幅な伸びを期待しにくい環境では、投資家が高クオリティー銘柄を選好する展開が考えられます。しかも、高クオリティー成長株式のバリュエーションは、市場全体と比較して相対的に割安な水準にあります。その点で、同ファンドが組み入れる銘柄群は魅力的な投資対象だと考えられます。
また、S&P500の配当利回りは2.2%程度と、10年国債利回りが1.7%程度の米国債券に投資するよりも米国株式に投資するインセンティブが働きやすい環境であり、米国株式の魅力度は高いと見ています。その米国株式の中で、利益を将来のために再投資することによって高い利益率を維持しながら、長期にわたって成長できるビジネスを持つ高クオリティー企業の株式は、一段と魅力的な投資対象といえると思います。ぜひ、投資先の1つとしてご検討ください。
提供:モーニングスター社
(上)からつづく
――運用チームの構成は?
そして、世界の拠点に総勢で約70名のアナリストが在籍していますが、運用チーム専任のアナリストチームと世界の各拠点に在籍するアナリストが協業することで、より精緻(せいち)な分析結果を導き出します。たとえば、世界的な消費財を扱っている米国のメーカーを調べる場合、当運用をサポートするアナリストは米国において企業取材などを行いますが、アジアやヨーロッパでの販売状況は、現地の消費財アナリストの方が詳しい分析ができます。これらの情報を突き合わせ、アナリスト同士が協力し合うことによって、より確信度の高いリサーチ結果を生み出すことができるのです。
――ファンドは、市場の下落時に連動しにくい特性がありますが、リスク管理の面で特別な取り組みをしているのですか?
リスク管理については、ボトムアップ運用のファンドだけに、個別銘柄の事業リスクや成長リスクに関する調査が有効に機能していることが第1に重要です。そのうえで、ポートフォリオ全体について、ベンチマーク(S&P500)とのトラッキングエラーや各種リスクモデルを用いた分析を行っています。
それに加えて、このファンドでは1銘柄のリスクがトラッキングエラー全体の10%以内に抑えられているかを常にチェックしています。銘柄分析の結果、今後の成長への確信度が非常に高い企業であっても、リスクのエクスポージャーは全体の10%以内に収めます。これによって、ひとつの投資アイデアにファンド全体のパフォーマンスを委ねるようなことがないようにしています。
――2016年は年初から原油価格の急落や急激なドル高など、激しい値動きを経験しました。今年の見通しは?
米国の利上げは、景気拡大を確認しつつ慎重に行われていく方向なので、米国の緩やかな景気拡大を裏付ける材料として株式市場にとってポジティブな変化と捉えられます。ただ、世界的な金融緩和が長らく続いたあとで、米国が先行して利上げに踏み切ったことで、世界各地のカネ余りで生じたミニバブルが、小さくはじけるような事態が起こっています。これが、米国市場に影響を及ぼすことは避けられません。したがって、ボラティリティーの大きな市場環境が当面続くと考えられます。
一方、企業収益は売上高の伸びが鈍化してきています。企業の利益率は、エネルギー費用の低下や金利低下によって、ずいぶん底上げされてきましたが、今後は賃金コストの上昇や金利引き上げの影響などが現れ、収益サイクル的にはピークを超え、利益率の拡大が難しい局面になるでしょう。こうした局面では企業の実力の差が業績に表れやすくなります。
実際に、3月末のマザーファンド組み入れ銘柄の1株利益(EPS)成長率の長期予想は平均15.5%と、S&P500採用銘柄の10.2%を上回ります。また、キャッシュフロー投下資本利益率(CFROI)は、マザーファンドの平均が20.9%に対し、S&P500は15.1%です。しっかりと高い利益成長が見込まれ、かつ、キャッシュフローの再投資利回りも高い銘柄でポートフォリオを組んでいます。
企業全体の利益率の伸び悩みが予想され、S&P500などの株価指数に利益成長率の大幅な伸びを期待しにくい環境では、投資家が高クオリティー銘柄を選好する展開が考えられます。しかも、高クオリティー成長株式のバリュエーションは、市場全体と比較して相対的に割安な水準にあります。その点で、同ファンドが組み入れる銘柄群は魅力的な投資対象だと考えられます。
また、S&P500の配当利回りは2.2%程度と、10年国債利回りが1.7%程度の米国債券に投資するよりも米国株式に投資するインセンティブが働きやすい環境であり、米国株式の魅力度は高いと見ています。その米国株式の中で、利益を将来のために再投資することによって高い利益率を維持しながら、長期にわたって成長できるビジネスを持つ高クオリティー企業の株式は、一段と魅力的な投資対象といえると思います。ぜひ、投資先の1つとしてご検討ください。
提供:モーニングスター社