マイナス金利時代に安定したインカムを稼ぐ「ヘッジ付き外債ファンド」の魅力とは?

 マイナス金利時代に安定収益の獲得をめざす手段として「ヘッジ付き外債ファンド」が注目されている。国内債券は10月発行社債の利回りが年0.0003%程度になる見通しと伝えられるほど、利回りがなくなっている。ただ、米ドル建て債券は、米国の利上げ接近観測などの影響を受け、債券価格が下落(利回りは上昇)。ヘッジ付き外債ファンドの基準価額も下落している。今年6月末に設定された「SBI−PIMCO ジャパン・ベターインカム・ファンド(愛称:ベタイン)」<2016063005>を運用するSBIボンド・インベストメント・マネジメント代表の堀井氏は、「市場の変動幅が高まる局面も見られるなか、より安定性を重視した運用を行っている。一方で9月、10月は起債シーズンでもあるため、良質な銘柄を割安に組み入れる投資機会としても十分生かして行きたい」と、語った。

 「ベタイン」のポートフォリオは、8月末現在で平均修正デュレーションが4.39年、平均最終利回りが2.09%。9月は大きな銘柄の入れ替えなどを実施していないが、債券価格の下落によって、利回り水準は高まっている。

 現在のポートフォリオ特性について堀井氏は、「米国金利動向を見極めながらポートフォリオの金利リスクの調整を行っている。米国金利が超低位であったためこれまで金利リスクを抑え目にしていたが、足元の金利上昇を受け若干買い戻すなど柔軟な対応を行っている。格付け面では平均格付けをAAにするなど高く保っている」と語る。

 業種別構成の面でも安定性を重視し、より保守的な組み入れを心掛けている。政府関連の運輸セクター、通信セクターなどバリュエーションや安定性の面から妙味があると判断したセクターへの投資比率を多めとする一方、相対的に割高な水準にまで買われたと考える金融セクターへの投資比率を抑え目としている。

 さらに、為替ヘッジコストの上昇も懸念されるなか、日米金利差、投資家動向、各種規制などをかんがみたうえで為替ヘッジコストの状況を分析し、コストを抑える取り組みも行っているという。

 「ベタイン」の基準価額は9月に9950円前後に下げているが、1カ月間のリターンはカテゴリー(国際債券・グローバル・含む日本<ヘッジ有>)平均のマイナス0.24%に対し、マイナス0.23%と下落率を抑えた運用だった。「基準価額の下落は、米国債券市場の下落の影響が原因。組み入れている債券の質が悪化しているわけではない」(堀井氏)という。米国債市場ではすでに12月での利上げを7割程度織り込んでおり、ここからの債券価格の大幅な下落余地は少なくなってきていると見通す。むしろ、この機会を捉えて、新規に買い余力を残していることが、今後の展開に有利に働きそうだ。

 堀井氏は、「日本企業の発行する米ドル建て社債へのヘッジ付き投資は、相対的な利回りの高さや安定性の面より、マイナス金利時代に安定的なインカムを獲得できる有効な投資手段の一つである」と同ファンドの魅力を語る。安定的な運用をめざすべく、きめ細かな運用対応がうかがえた。
提供:モーニングスター社
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